2011年9月29日21時9分
文部科学省は29日、航空機を使って測定した放射性セシウムの蓄積量について、千葉県と埼玉県の汚染マップを公表した。東京電力福島第一原発事故によって飛散した汚染の帯が、薄まりながら首都圏まで広がっていることが示された。
両県とも9月8~12日、ヘリコプターで測った。放射性物質の量が半分になる半減期が30年のセシウム137の蓄積量をみると、千葉県で高かったのは柏や松戸、我孫子、流山市などの県北部。1平方メートルあたり3万~6万ベクレルにのぼった。他は木更津市の一部を除きほぼ1万ベクレル以下だった。チェルノブイリ原発事故では3万7千ベクレル以上が「汚染地域」とされた。ただし強制避難の基準は55万ベクレル以上。
文科省によると、千葉県では、原発から放出された放射性物質を含んだ雲がいったん太平洋に流れ、再び茨城県の霞ケ浦付近を通り、埼玉県境まで広がったと推測できるという。
埼玉県では、原発から250キロ離れた秩父市の山間部の一部で3万~6万ベクレルにのぼった。放射性物質を含んだ雲が原発から南西方向に流れ、群馬を過ぎて、埼玉県に回り込み、地上に沈着したようだ。
両県とも蓄積量の多い地点では放射線量が毎時0.2~0.5マイクロシーベルトで、このほかの多くは0.1マイクロシーベルト以下だった。学校において、校庭の除染を行う目安は1マイクロシーベルト以上とされている。
文科省は東日本全域で航空機による測定をしている。測定を終えた県の汚染マップを順次、ウェブサイトで公表している。(佐藤久恵)
空間放射線量測定 沼田など高い数値 県「除染の必要なし」
2011年9月28日
文部科学省が二十七日に公表した県内の放射性セシウムの汚染マップでは、沼田市北部と川場村の一部、桐生、みどりの両市の北部などで空間放射線量(地表一メートルの高さ)が一時間当たり〇・五~一・〇マイクロシーベルトと比較的高く出た。これらの地域で県は同日、職員を派遣し緊急に測定し直したが、いずれも同〇・五マイクロシーベルト以下だった。
同省が校庭の使用基準の空間放射線量を同一マイクロシーベルト未満としていることから、県は表土の除去など除染が必要な基準を同一マイクロシーベルト以上としている。県環境保全課の担当者は「さらに詳細な調査を行うが、現時点で除染の必要な所はない。あとは市町村の判断」と話した。
このほかに空間放射線量が〇・五~一・〇マイクロシーベルトだった地域は、渋川市と高山村の境目、みなかみ町や中之条町の一部。同課の担当者は「山間部で民家は数軒程度。大きな集落はない」と話している。
県職員による緊急測定は、これらの地域のうち、人が立ち入れる場所で実施。沼田市北部と川場村で測定した十三カ所は同〇・一八~〇・四六マイクロシーベルト、桐生市とみどり市で測定した十四カ所は同〇・一三~〇・四〇マイクロシーベルトだった。
汚染マップの基になった調査は、八月二十三日~九月八日に県防災ヘリで実施した。文科省や県のホームページで公開している。 (伊藤弘喜)