ページ

2011/09/28

小沢一郎元代表、「あんな判決はあり得ない」

小沢元代表、法廷へ:近づく初公判 元秘書3人有罪「あり得ない判決」 側近に漏らす
 「あんな判決はあり得ない」。小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で26日に元秘書3人全員に有罪が言い渡されたことに対し、小沢元代表は27日夕、東京都内の個人事務所で自らと近い山田正彦前農相と面会し、不快感をあらわにした。26日夜には報告に訪れた弁護士にも「予想外の判決だ」と不満を表明。10月6日の自身の初公判に向け、司法への対決姿勢をにじませた。【葛西大博、鈴木一生、山本将克】



 小沢元代表は山田前農相に、東京地裁の判決が水谷建設からの裏献金1億円の受領を認定したことについて「検察でも(罪を)認定できないのに」と不満をもらした。これに先立ち元代表を支持する衆参の国会議員約20人は27日昼、国会内で会合を開き、辻恵衆院議員が「飛び抜けて異例の不当判決だ」と批判。「事実関係を無視して一方的な心証だけで判決が出たことは国民への挑戦とも受け取れる」などの意見も出た。

 前夜の26日夜。元代表は事務所で判決の報告を弁護士から淡々と聞き、元秘書3人の控訴方針を伝えられると「やむを得ないな」と応じた。


 ◇3人とも控訴
 これを受け元事務担当者の衆院議員、石川知裕被告(38)=禁錮2年、執行猶予3年▽後任の事務担当者、池田光智被告(34)=禁錮1年、執行猶予3年▽西松建設からの違法献金事件でも有罪とされた元公設第1秘書、大久保隆規被告(50)=禁錮3年、執行猶予5年=は27日、控訴した。

 一方、判決から一夜明け、検察幹部は改めてほっとした表情を見せた。大久保被告を取り調べた元特捜検事が証拠改ざん事件で昨年逮捕され、虚偽記載を認めたとされる同被告の調書を初公判前に撤回。さらに石川被告の「隠し録音」に基づき、地裁から多くの調書を却下された。ある幹部は「万一(26日の判決が)無罪だったら検察の信頼回復は一層遠のいただろう。調書却下に伴う分かりやすい証拠構造で有罪になっているので、控訴審でも逆転の可能性は低い」と自信をみせた。

 ただ、検察として起訴を見送りながら検察審査会に強制起訴された元代表の公判には口を濁す。ある幹部は「元秘書3人の有罪で十分。元代表は2回聴取して不起訴を決めており、我々に無関係の事件」と強調する。だが、あるOBは「今回の判決は政治資金規正法でも客観証拠や状況証拠から犯意や共謀を認定できるという指針を示した。元代表の事件でもそうした証拠はゼロではない」と述べ、元代表の公判の行方に注目する。

毎日新聞 2011年9月28日 東京朝刊