9月27日 5時0分
政府は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて放射性物質を取り除く除染や廃棄物の処理にかかる費用は、少なくとも総額で1兆数千億円に上ると試算し、このうち来年度予算案に4500億円余りを計上する方向で調整に入りました。
政府が26日夜までにまとめた、福島第一原発事故の収束に関する重点政策によりますと、放射性物質を取り除く除染や廃棄物の処理にかかる費用は、現時点では試算が難しい中間貯蔵施設の整備費などを除いても、総額で1兆数千億円に上るとしています。
そのうえで、来年度予算案には、▽除染に3700億円余り、▽放射性廃棄物の処理におよそ780億円、▽中間貯蔵施設の検討費用として20億円の合わせて4500億円余りを計上する方向で調整に入りました。
除染などにかかる費用を巡っては、細野原発事故担当大臣が、26日の衆議院予算委員会で「除染の最大の対象は子どもであり、放射線量をいかに低くするか、文部科学省と連携して最大の結果を出したい」と述べており、野田政権としては、厳しい財政事情の下でも、原発事故の被災地の復旧に全力を上げる意思を示したいとしています。
除染必要な土 ドーム23杯に
(9月27日 22:20更新)
原発事故で広がった放射性物質の除染に伴って取り除く必要がある土の量について、環境省は、最大で東京ドームおよそ23杯分に相当する2870万立方メートル余りに上るとする試算をまとめました。
これは、27日開かれた専門家による検討会で環境省が示したもので、除染を行う面積や除線に伴って取り除く土の量を文部科学省が測った放射線量などを基に試算しました。
それによりますと、除染をする対象の地域は、最も広い場合で、年間の放射線量の積算値が5ミリシーベルト以上の地域と、1ミリシーベルト以上5ミリシーベルト未満でも側溝など放射線量が局所的に高い地点を加えた範囲と想定しています。
そのうえで、これらの地域にある森林全体から枯れ葉などを回収した場合を計算した結果、除染する面積は、最大で福島県を始め宮城県と山形県、栃木県、茨城県の一部を合わせた2419平方キロメートル、取り除く土の量は東京ドームおよそ23杯分に相当する、およそ2879万立方メートルに上るとしています。
環境省は、この試算を基に専門家による議論を進め、除染を行う範囲や具体的な方法を年内に取りまとめることにしています。
環境省⇒東日本大震災への対応⇒放射性物質汚染対処特措法 環境回復検討会について