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2011/09/26

中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の前面の海域は津波のエネルギーが集中しやすい地形

浜岡原発:「津波集中」の立地 東大地震研が海底地形分析





 東海地震の震源域に位置する中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の前面の海域には、浅い海底が外洋に突き出すように広がり、津波のエネルギーが集中しやすい地形であることが、東京大地震研究所の都司嘉宣(つじ・よしのぶ)准教授(地震学)の分析で分かった。

 浜岡原発の前面には、深さ200メートルより浅く、約20キロ沖まで舌状に広がる「御前崎海脚」と呼ばれる海底があり、その先は深さ500メートルまで急激に落ち込んでいる。また、御前崎海脚の両側も急に深くなっている。

 津波の速度は水深が深いほど速く、浅いほど遅い。都司准教授によると、海から陸に向かう津波は、海脚の中央に近いほど速度が遅くなる一方、中央から離れるほど速度が速く、津波の進む向きが中央方向に曲げられる。そのため、光が凸レンズを通過して焦点に集まるように、海脚の根元に当たる同原発周辺に津波のエネルギーが集中するという。

 中部電は東海、東南海、南海地震が連動した場合、同原発付近が高さ約8メートルの津波に襲われると想定。約1000億円の対策費をかけて、来年12月の完成を目標に海面から高さ18メートル、厚さ2メートル、全長1.6キロの防波壁の建設などを進めている。

 都司准教授は「浜岡原発は、地震だけでなく、津波の被害も受けやすい場所に立地している」と指摘している。【石塚孝志】

毎日新聞 2011年9月26日 2時30分