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2011/09/16

「なぜ、これほど多くの現金が必要だったのか」と問われても「よく分からない」「本人からの発言はない」との答えに終始した

大王製紙会長が辞任=子会社から借金80億円超-調査委設置、「背任の可能性」
 大王製紙は16日、創業者一族の井川意高会長(47)が同日付で辞任したと発表した。井川氏は複数の連結子会社から2010年度以降に計80億円超の融資を受け、現在も約50億円の借り入れが残っているという。同社は「ガバナンス上の問題があり、井川氏本人から辞任の申し出があった」としている。

 大王製紙は社外メンバーも加えた特別調査委員会を16日設置し、1カ月以内に調査結果を公表する。記者会見した佐光正義社長は「(前会長に)背任罪の可能性がないとは言えない」と述べ、調査結果次第では刑事告訴も検討する考えを示した。(2011/09/16-20:33)


http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2011091600894




大王製紙:会長が引責辞任…子会社から使途不明金借り入れ


 製紙国内4位の大王製紙は16日、井川意高(もとたか)会長(47)が同日付で辞任したと発表した。井川氏は子会社7社から計80億円超を個人的に借り入れたことが発覚。使途も明らかにしておらず、経営トップとして問題があるとの判断から佐光正義社長が辞任を促したという。井川氏は創業者の孫に当たり、07年6月から今年6月まで社長。同社は社外5人からなる調査委員会を設置し、必要があれば特別背任容疑での刑事告訴も検討する。

 子会社7社の側も、取締役会の決議や貸借契約書など必要な手続きを踏まずに多額の資金を貸し出していたケースが多数発覚。オーナー企業特有の甘い企業統治姿勢に批判が集まりそうだ。

 大王製紙によると、井川氏は10年度に23.5億円、11年4~9月に約60億円を借り入れ、うち約30億円は9月までに返済済みという。同社が今月7日に関連会社の総務担当からの内部通告を受け、全子会社52社を調査したところ、井川氏が事実を認め、16日朝辞表を提出した。使い道は「今は言えない」と答えているという。

 井川氏は大王製紙株1%弱のほか、関連会社株を多数保有している。同社は井川氏や創業家出身の2人の役員らから時価で50億円超の株式の提供を受けたため、「グループの損益に与える影響はない」としている。

 また、同社が10年度に提出した有価証券報告書には、井川氏に対し23.5億円の貸し付けをした記載があるが、経営陣は問題視していなかった。16日に東京都内で会見した佐光社長は「オーナー企業だったため、不正を見抜ける人材がいなかった」と責任を認めた。【寺田剛】

毎日新聞 2011年9月16日 21時13分(最終更新 9月16日 23時03分)






経緯・使途は調査中 会長の巨額借金で大王製紙会見
 国内3位の大手製紙会社のトップが、関係会社から巨額の借り入れをしていた。大王製紙の佐光(さこう)正義社長は16日に緊急記者会見を開き、計約80億円を借りていた同社の井川意高(いかわ・もとたか)会長の辞任を発表した。だが、これほど巨額の金を必要とした理由や、貸し付けの経緯については「調査中」を繰り返すばかりだった。

 午後5時15分から会見を開いた佐光社長は冒頭、井川会長の辞任について説明。多額の借り入れがあったことについて「ガバナンス上の問題があった」と陳謝し、特別調査委員会を設けて経緯などを調査すると発表した。

 ただ、「会長本人は何と言っているのか」「各関係会社は決算上どのような処理をしているのか」などの質問に対しては、「調査中」「今後詳細を調べる」などと返事するばかり。井川会長が、借入先となった関係会社の役員を兼務していたのか、との質問にも「おそらく、全社の代表取締役会長だと思う」と、あいまいに答えた。

 使途についても「(井川会長が)何らかの目的で使ったと思う」とするのみで、「なぜ、これほど多くの現金が必要だったのか」と問われても「よく分からない」「本人からの発言はない」との答えに終始した。今月7日に告発メールで問題が発覚して以降、同社はこれまで2回、計1時間にわたって井川会長に聞き取りしているが、「動転していて、言語不明瞭」な状態という。








大王製紙は、日本製紙グループ本社と王子製紙に次ぐ総合製紙の国内3位。井川氏は創業者の孫で、父で元社長の高雄氏は「超ワンマン経営者」として知られた。上位2社を猛追する姿と剛腕経営の印象が重なり合い、同社は「四国の暴れん坊」と呼ばれる。

 そのDNAを受け継いだ井川氏は東大法学部卒業後、入社。「エリエール」ブランドで知られるティッシュペーパーやトイレットペーパーなどの家庭紙部門で経験を積み、1998年に副社長、2007年に42歳の若さで社長に就任。

 経営者としての評価はどうか。

 「ソフトな語り口でいつも笑顔。頭も切れ、ビジネスの話は理路整然としている。一方で、同族経営を意識して、『若さによる経験不足はない』、『過去10年に業績不振で経営者が辞めた企業で同族経営がどれほどあったのか』と主張するなど、先代譲りの負けん気だった」(業界関係者)

 休日は読書や子供を連れ、銀座・博品館でおもちゃを買う姿も見られたという。ただ、御曹司だけに交友関係は派手だった。知人が明かす。

 「東大で同級の浅尾慶一郎衆院議員、高校の後輩にあたる後藤田正純衆院議員とは特に仲がよい。社長就任パーティーは帝国ホテルで開かれ、客が1000人以上も集まった。親交のあるタレントの神田うのや中曽根康弘元首相、サントリーの佐治信忠社長ら、そうそうたる顔ぶれだった