2011年8月10日1時45分
東京電力福島第一原発の事故をめぐり、米ニューヨーク・タイムズ紙は9日付紙面で、日本政府が緊急時迅速放射能影響予測(SPEEDI)のデータを事故直後に公表することを怠ったために、福島県浪江町など原発周辺自治体の住民らが被曝(ひばく)している可能性が高いと伝えた。
長文の記事は、菅政権との対立で4月に内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘・東大大学院教授が、事故直後にSPEEDIのデータ公表を政府に進言したが、避難コストがかさむことを恐れた政府が公表を避けたと指摘。「原発事故の規模や健康被害のリスクを過小評価しようとする政府に対し、社会の怒りが増大している」と論評した。
そのほか、原子炉のメルトダウンを裏付けるデータ公表の遅れや、校庭での放射性物質の基準値をめぐるぶれなども問題視した。(ニューヨーク=田中光)
データ公表せず住民に危機 米紙「省庁の責任逃れ」
【ニューヨーク共同】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は8日、東京電力福島第1原発事故による放射性物質飛散直後に日本政府が「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」のデータを公表しなかったため、福島県浪江町の住民が避難先で高い被ばくリスクにさらされたと報じた。
データ公表遅れについて同紙は「責任を逃れ批判を避けようとする中央省庁の文化」が背景にあると分析している。
同紙によると、同町は事故の直後、安全と判断して町民を同町津島に避難させたが、放射性物質が風に乗って避難先にも運ばれ、SPEEDIでも予測されていたという。
Japan Held Nuclear Data, Leaving Evacuees in Peril
Contaminated soil at a school in Koriyama, Japan.
By NORIMITSU ONISHI and MARTIN FACKLER
Published: August 8, 2011
By NORIMITSU ONISHI and MARTIN FACKLER