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2011/08/21

各地の地層から巨大津波の痕跡見つかる 

静岡や北海道、四国も 各地で巨大津波の痕跡見つかる
静岡大や北大が調査 国の想定上回る

2011/8/21 0:00






 太平洋沿岸各地の地層で、国の想定を上回る巨大津波の痕跡が相次いで見つかった。静岡大などは東海地震としては最大級の津波が静岡市に来ていたことを確認。北海道大や産業技術総合研究所、高知大はそれぞれ北海道、東北、四国の沿岸で複数地震の連動による未知の津波が押し寄せていたことを突き止めた。防災計画見直しの参考になりそうだ。

 静大の北村晃寿准教授は産総研と共同で、静岡市の海岸線から約700メートル、約1050メートル陸側に入った2カ所で掘削調査し、津波が運んだ海砂などの堆積物を確認した。約6000~約3000年前に2回の大津波が来たとみている。

 砂粒の平均値から津波は秒速10メートルと試算、調査場所よりもさらに内陸側まで浸水させた可能性が高いという。北村准教授は「海底の傾斜が急な場所が地震で地滑りを起こし津波が大きくなった」とみている。調査地点付近は津波に襲われた記録が残っておらず、東海地震による津波でも浸水しないと考えられていた。

 北大の平川一臣特任教授は北海道南部にある渡島半島の東部、森町の海沿いの崖で津波堆積物を見つけた。津波は紀元前後、12~13世紀、17世紀初めの3回発生し、高さは5メートルを上回ったとみている。道南地方の津波は1~3メートルとする中央防災会議の予想を上回る。

 産総研は茨城県日立市の13~15世紀の地層から津波の痕跡を発見した。宮城県石巻市や同山元町でも同様の堆積物を確認しており、東北太平洋沿岸の広い範囲を襲った可能性が高いという。

 高知大の岡村真教授らは徳島県東南部~高知県の3カ所で、池の底から紀元前後の津波堆積物を特定した。東海・東南海・南海地震が連動した1707年の宝永地震で水没しなかった池でも見つかり、津波は当時よりも巨大だったとみている。

 中央防災会議は今後の被害想定では、津波堆積物や古文書の調査などをもとに最大級の地震・津波を検討するよう求めている。国や自治体の防災計画見直しが進んでおり、関西大の河田恵昭教授は「最悪のシナリオを考えるうえで、過去の津波調査は重要だ」としている。

http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E0E2E2E0E78DE0E2E2EAE0E2E3E39180EAE2E2E2