政府は21日、東京電力福島第1原子力発電所事故で、半径20キロの警戒区域のうち原発に極めて近い地域について、長期間にわたり居住は困難として、警戒区域の指定を解除せず、立ち入り禁止措置を継続する方針を固めた。27日に菅直人首相が福島県入りして、地元自治体に直接説明し、陳謝する意向だ。対象地域は同県大熊、双葉両町内の原発周辺3キロ圏内となる見通しで、政府は最終的な詰めを急いでいる。
政府は今年4月、原発から20キロ圏内を原則立ち入り禁止とする警戒区域とした。一方、9日の原子力災害対策本部では、事故収束に向けた工程表で原子炉が冷温停止状態となる「ステップ2」達成後に、警戒区域解除について検討する方針を確認していた。
しかし、第1原発に近接した地域は放射線量が極めて高く、長期間にわたって居住は難しいと判断した。立ち入り禁止措置は数十年続くとの見通しもある。
避難生活が長引く警戒区域の住民からは、集団移転を念頭に、政府が方針を明確にするよう求める声も出ていた。「政府としても『戻れない』と早く言わなければいけない」(首相官邸筋)とし、近く退陣する首相が在任中に福島を訪れ、陳謝することになった。(2011/08/21-18:12)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011082100118
原発周辺、長期間住めないと判断…首相陳謝へ
政府は20日、東京電力福島第一原子力発電所事故で高濃度の放射性物質に汚染された周辺の一部地域について、長期間にわたって居住が困難になると判断し、警戒区域を解除せず、立ち入り禁止措置を継続する方針を固めた。
数十年続くとの見方も出ている。菅首相が地元自治体に直接説明し、避難の長期化を陳謝する方向で検討している。具体的な地域は、福島県双葉、大熊両町の原発3キロ・メートル圏内などを念頭に精査する。
政府は4月、原発20キロ圏内を原則として立ち入りを禁じる警戒区域に設定。来年1月中旬までに原子炉が安定的に停止する「冷温停止状態」を達成し、警戒区域を解除する方針を示してきた。
しかし、文部科学省が原発20キロ圏内の警戒区域内で事故発生後の1年間で浴びる放射線の積算量を推計したところ、大熊、双葉両町を中心とする35地点で、計画的避難区域などの指定の目安となる年間20ミリ・シーベルトを大きく超えた。原発から西南西に3キロ離れた大熊町小入野では508・1ミリ・シーベルト、同町夫沢でも393・7ミリ・シーベルトと、高い推計値を示した。
(2011年8月21日03時01分 読売新聞)