2011/8/19 20:13
放射性物質に汚染された稲わらを食べた牛が流通した問題で政府は19日、宮城県に対する牛の出荷制限を解除した。汚染された牛肉の流通を防ぐ管理体制が整ったため。同時に解除予定だった福島県は、汚染稲わらを食べていない牛の肉から暫定規制値(1キログラム当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムが新たに検出され、原因特定までは制限を継続する。
厚生労働省によると、規制値を超えた牛は4頭で自主検査をした民間機関から保健所を通じ同省に通報があった。4月に福島県浪江町の農場から出荷されて冷凍保存され、国が検査し直したところ最高で997ベクレルが検出された。
宮城県産牛の出荷再開については、県が定めた管理・出荷計画に従うことが条件。汚染わらを食べさせた農家などは全頭検査を実施。それ以外は、出荷再開時に1頭を検査し、50ベクレルを下回れば以後3カ月間は出荷を認める。
不正出荷を防ぐため県が農家ごとの管理台帳を作成。汚染わらは牛舎から離れた場所に置いてスプレーで着色し、ブルーシートをかぶせる。
栃木県と岩手県は現在農林水産省と出荷・管理計画を協議中で、当面は出荷制限が続く見通し。
福島の肉牛 出荷停止を継続
8月19日 14時17分
高濃度の放射性セシウムを含む稲わらを餌として与えられていなかった可能性のある福島県の牛の肉から、国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出されました。政府は詳しい経緯の調査が必要だとして19日に解除を予定していた福島県産の肉牛の出荷停止を当面継続することを決めました。
厚生労働省などによりますと、国の暫定基準値を超える放射性セシウムが新たに検出されたのは、福島県の浪江町の計画的避難区域内にある農家からことし4月に出荷され、関東地方の食品メーカーに保管されていたもので、メーカーの自主的な検査で明らかになりました。
これまでの福島県の調査に対して、この農家は、国の目安を超える高濃度の放射性セシウムを含む稲わらは餌として与えていなかったと説明しているということです。
政府は19日、福島県と宮城県産の肉牛について出荷停止を解除する予定でしたが、今回のことを受けて、宮城県は解除するものの、福島県産については出荷停止を当面継続するとともに、放射性物質が牛肉から検出された経緯について、詳しい調査を行うよう福島県に指示しました。
宮城県産肉牛の出荷停止を一部解除…政府
政府の原子力災害対策本部は19日、宮城県産の肉牛について、同県の策定した出荷管理計画に基づき安全性が確認された牛の出荷停止を解除した、と発表した。
政府は同日、福島県産牛の解除も予定していたが、「汚染稲わらを与えていない」と農家から報告があった同県産の牛から暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を上回る放射性セシウムが検出されたことから、汚染原因が特定されるまで、同県産牛の解除は見送った。
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う牛の出荷停止の措置が解除されたのは今回の宮城県産が初めて。同県では先月28日に出荷を停止していた。その後、同県は厚生労働省、農林水産省と協議を重ね、出荷管理計画を策定。政府は安全管理体制が整ったと判断した。
同県の計画は、〈1〉規制値を超えた牛を出荷〈2〉汚染稲わらを使用〈3〉県が立ち入り調査を未実施――の、いずれかに該当する農家は、今後すべての牛について放射性物質検査を実施し、規制値以下の牛のみ流通する。それ以外の農家は、少なくとも1頭の検査を実施し、50ベクレル以下であれば、以後3か月間は検査なしでの流通を認める。
厚労省によると、24日には90農家が各1頭ずつ、この計画に基づいて県内の食肉処理場に出荷する予定で、規制値以下であれば、市場に流通する。
(2011年8月20日03時03分 読売新聞)