ページ

2011/08/30

小沢氏は、来年9月の任期切れに伴う代表選をにらんでいるとの見方がもっぱらだが、グループ内からは「小沢さんの時代は終わりつつある」との声も漏れている

小沢氏、3回連続の「敗北」=求心力低下に拍車―民主代表選
2011年 8月 29日 22:10 JST
 29日の民主党代表選で、小沢一郎元代表が支援した海江田万里経済産業相が決選投票の末に敗れ、小沢氏にとっては3回連続の代表選「敗北」となった。小沢氏はグループの結束を固め直して引き続き再起をうかがう考えだが、求心力低下に拍車が掛かる可能性もある。



 「177票は立派な数字だ。今後は三つの(小沢)グループの垣根を取り払い、一から勉強し直したい」。小沢氏は29日、代表選会場に姿を見せなかったが、その後、都内のホテルで開かれた小沢グループの「残念会」には出席。現在三つに分かれているグループを統合する考えを示した。

 小沢氏は今回の代表選に臨むに当たり、周辺に「絶対に勝たなければいけない」と語り続けた。独自候補を擁立できなかった昨年6月と、自ら出馬して敗れた9月の代表選に続き、菅内閣不信任決議案に同調しようとした今年6月の「政局」も失敗。求心力の陰りは否めないためだ。10月6日には自身の資金管理団体の政治資金規正法違反事件をめぐる初公判を控え、焦りもあるとみられる。

 このため、小沢氏は「勝ち馬」に乗ろうと、ぎりぎりまで態度表明を保留。一時は新代表に有力視された前原誠司前外相との連携も探ったが、前原氏が小沢氏と距離を置く姿勢を示したため、別の候補者の擁立を試みた。しかし、これも実を結ばず、結局は消極的選択で海江田氏を支持。小沢氏の復権を警戒する他陣営からは、「小沢包囲網」を敷かれた。

 党関係者によると、小沢氏は29日朝、かつてグループに所属していた若手議員を呼び出し、協力を求めようとしたが、この議員は応じなかった。小沢氏は、来年9月の任期切れに伴う代表選をにらんでいるとの見方がもっぱらだが、グループ内からは「小沢さんの時代は終わりつつある」との声も漏れている。 

[時事通信社]

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&rel=j7&k=2011082900838








小沢G、猛烈な多数派工作…ポスト約束に反発も
 小沢グループの多数派工作も猛烈だった。

 「決選投票では海江田氏をお願いしたい。海江田氏に入れてくれれば、あなたの政務三役入りは約束する」

 元代表の側近は、参院の中堅議員にポストを提示して支持を求めた。

 29日朝には、決選投票には残れないと悟った馬淵澄夫前国土交通相が陣営の選対会合で「決選投票では海江田氏を支持する」と表明した。馬淵氏は代表選後、その理由を海江田氏が増税路線を取らず、政策的に近いからだと語ったが、党内では「馬淵氏は、決選投票での『海江田氏支持』を条件に小沢グループから推薦人を借りていたのではないか」との臆測も流れた。

 小沢グループの多数派工作には、「ポストを約束してくれるのは小沢グループだけだ」と歓迎する者もいれば、「古い自民党総裁選を見ているようだ」と反発を強める議員もいた。

 そもそも、小沢グループは代表選で「誤算」続きだったとの指摘もある。

 元代表は当初、海江田氏の支持に慎重だった。25日には小沢グループの山田正彦前農相を仲介役に立て、鹿野氏側に「小沢グループ・鹿野陣営連合」を打診したが、鹿野氏に拒否されると、「奇策」とも言える西岡参院議長擁立も検討した。小沢元代表は「自らを巡る党内対立が浮かび上がると、厳しい戦いになる」と予想していたからだとされる。

 海江田氏は代表選で、経産相として推進した環太平洋経済連携協定(TPP)の締結に慎重姿勢に転じたが、TPP反対派の多い小沢グループの指示に基づいたものだった。党内では「海江田氏は完全な『小沢傀儡』だ」との見方が強まり、幅広い支持の形成を阻害した面は否めない。

 海江田氏は28日には自民、公明両党との3党合意の見直しにまで踏み込み、党内の不安感を助長させた。そこまでの発言を海江田氏に求めていなかったとされる小沢グループでは「あれは勇み足だった」と悔やむ。

(2011年8月30日00時06分 読売新聞)