農林水産省は、水田や畑など農地の土壌に含まれる放射性物質の濃度を地図で示した分布図を公表しました。
これは、農林水産省が3月末から福島県など6県のおよそ580地点で農地の土壌を分析し、放射性物質の濃度を地図にまとめたものです。
農地の放射性物質の濃度の基準として、現在、土壌1キログラムあたり放射性セシウム5000ベクレルを超えるとコメの作付けが制限されています。
今回の調査では、浪江町南津島で2万8041ベクレルなど目安を超える量が40地点で検出され、うち9か所はすでにコメの作付けが制限された地域以外にある畑でした。
調査結果は今後、除染作業を行うときの参考にするということで、農林水産省はさらにおよそ2400地点の検査を進め、より詳しい分布図を作ることにしています。(29日23:28)
農地の汚染状況示す地図公表
8月29日 19時29分
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、放射性物質による農地の汚染状況を示した地図が初めて公開され、コメの作付けが制限された地域以外でも、福島県伊達市や相馬市などの一部の畑で、放射性セシウムが1キログラム当たり5000ベクレルを超える高い濃度で検出されたことが分かりました。
農林水産省は、福島第一原発から放出された放射性物質による農地の汚染状況を把握するため、福島、宮城、栃木、群馬、茨城、千葉の6つの県の合わせて580か所の畑や水田から土を採取して分析し、6月現在の値に補正して、地図にまとめました。
公開された地図によりますと、コメの作付けが制限された地域以外でも、いずれも畑ですが、福島県内の4つの市と村の合わせて9か所で、制限の目安とされる、土1キログラム当たり5000ベクレルを超える放射性セシウムを検出したことが分かりました。
このうち、伊達市霊山町下小国では8571ベクレル、いわき市川前町下樋売で6882ベクレル、大玉村大山では6856ベクレル、相馬市東玉野では5990ベクレルなどとなっています。
このほか、コメの作付けが制限されている地域では、水田を中心に、浪江町南津島や飯舘村長泥、それに大熊町野上などで、土1キログラム当たり2万ベクレルを超える放射性セシウムが検出され、深刻な汚染状況が改めて裏付けられました。
農林水産省は今後、福島県内の畑や水田を中心に、調査対象を5倍以上のおよそ3000か所に増やし、さらに詳しく農地の汚染状況を調べることにしています。
福島県の大高哲郎農林水産部次長は「特に警戒区域や計画的避難区域などでかなり高い数値が出ているという印象だ。得られた結果は、今後、除染を徹底するうえで活用するとともに、引き続き土壌調査を実施して、県内の農産物の安全性確保に努めていきたい」と話しています。
また、伊達市内の農地の土壌から高い濃度の放射性物質が検出されたことについて、伊達市の佐藤芳明産業部長は「高い数字だと認識している。ただ、同じ畑で取れた作物に対して、県が行った検査では、放射性セシウムは検出されなかったので、その点は安心だと考えている。
市としては、こまめに検査を行って、作物の安全性を確保するとともに、農地の除染についても早急に取り組みたい」と話しています。
農林水産省
農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について