7月26日 12時3分
中国で起きた高速鉄道の事故で、現場の高架下の地中に埋められていた車両が26日、掘り出され、事故原因の隠蔽が目的ではないかという批判もあるなか、鉄道当局としては、こうした批判をかわし、原因究明を重視しているという姿勢を示すねらいもあるとみられます。
この事故は、今月23日に中国東部の浙江省温州で、線路上に停車していた高速鉄道の列車に後続の列車が追突し、脱線、転落したもので、死者の数は39人に上っています。
事故現場では、追突して高架下に落下した列車の先頭車両が地中に埋められていましたが、中国の鉄道当局は26日、この車両を掘り出しました。掘り出された車両はシートにくるまれ、大型トレーラーでおよそ7キロ離れた温州西駅の敷地に移す作業が行われています。
高架下には、このほかに5両の車両が残されていましたが、これらも同様に移送され、中国中央テレビなどによりますと、今後、詳しい調査が行われる予定だということです。
駅の敷地では警察官が報道関係者を排除し、当局が神経をとがらせていることをうかがわせています。事故を起こした車両が埋められたことについては、事故原因の隠蔽が目的ではないかという批判もあり、鉄道当局としては、こうした批判をかわし、原因究明を重視しているという姿勢を示すねらいもあるとみられます。
中国高速鉄道“証拠隠滅”批判受け車両掘り出し
中国浙江省温州市の高速鉄道事故で、中国当局は26日、高架から転落後、壊して現場付近に埋めた先頭車両の残骸を掘り出し、地上に残っていた5両とともに搬出した。先頭車両を埋めたことが「証拠隠滅」と批判されたのを受け、原因調査を慎重に進める方針に転じた可能性がある。当時の列車の運行データを記録しているとされるブラックボックスの解析などで原因究明が進められるが、事故直後に現場を保存し検証する作業が不十分だったために難航する可能性もある。
鉄道省は、今後2カ月間にわたり全国で制御系統などの安全検査を行う。原因調査や安全確保への取り組みをアピールし、国民の批判や不安を和らげる狙いとみられる。
共同電によると現場ではクレーン2台が地上の車両をつり上げ、大型トレーラーに積載。南東数キロにある温州西駅構内に順次運ばれた。
事故後の政府の対応に不満を持つ遺族らは25日夜、温州市政府前で座り込みをするなどの抗議活動を実施。中国中央テレビなどは、地元政府側と死者1人の遺族の間で賠償協議が行われ、50万元(約600万円)の賠償金を支払うことで大筋合意したと報じた。
[ 2011年7月27日 06:00 ]
埋めた車両を掘り出す=批判受け、原因究明へ-中国鉄道事故
【北京時事】中国浙江省温州市で起きた高速鉄道事故で、先行列車に追突して高架から転落した後、地中に埋められていた後続列車の先頭車両が26日、掘り出された。高架下には転落した車両がほかにも残されていたが、中央テレビは、車両が解体され、大型トレーラーで温州西駅に運ばれる映像を伝えた。
先頭車両が地中に埋められたことについては、「証拠隠滅ではないか」との批判が高まっていた。鉄道省報道官は24日夜の記者会見で「作業の危険を回避するための緊急措置」と釈明していたが、当局は車両を掘り出すことで批判をかわし、原因究明に当たっていることを示す狙いがあるとみられる。(2011/07/26-13:10)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011072600389