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2011/06/02

菅・鳩山会談ではしごを外された小沢派議員、「具体的な辞任時期を示していない。これは造反組に対する分断作戦だ」「訳が分からない。“世紀の談合”だ」

小沢氏激怒、菅・鳩山会談の詳細知らされず
 2日の内閣不信任決議案の採決直前に、菅首相が退陣を示唆したことで、民主党の小沢一郎元代表が描いた不信任案可決のシナリオは大きく狂った。

 党執行部は小沢元代表の追加処分を検討している。さらに元代表は「政治とカネ」をめぐる裁判も抱えており、「反小沢」側からは、今回の大差の否決によって、元代表の求心力低下は決定的になったとの指摘も出ている。

 小沢グループは70人以上が造反の意向を固めていたが、結局、造反を明言してきた側近の松木謙公前農林水産政務官が賛成票を投じた以外は、小沢元代表ら計15人が欠席・棄権するにとどまった。

 2日朝、東京都内のホテルの一室。造反を決意した民主党衆院議員50人以上が続々と集結し、前日夜の会合に70人を集めたことで、「もう不信任案可決は決まったも同然」との高揚感が漂った。内山晃衆院議員は記者団に「140票は取りたい。そうすれば、自民、公明両党の数より我々の方が増える」とまで公言した。

 だが、首相と鳩山前首相が2日午前に会談し、首相が同日昼の民主党代議士会で退陣を示唆すると、雰囲気は一変した。

 両氏の会談の詳細を知らされていなかった元代表は激怒した。造反を決意していた議員ははしごを外された格好となり、「具体的な辞任時期を示していない。これは造反組に対する分断作戦だ」「訳が分からない。“世紀の談合”だ」と怒りをあらわにした。

 元代表は急きょ、国会内の自室に側近らを集め、「退陣の言及にまで追い込んだのは一つの成果だ」と述べた。グループの対応については「自分は欠席するが、後は個々に任せる」と語り、自主投票の方針を打ち出した。

(2011年6月2日23時34分 読売新聞)








突然の退陣表明に混乱=松木氏説得できず-小沢系
小沢一郎元代表を支持し、内閣不信任決議案に同調する覚悟を決めていた民主党議員らは2日、菅直人首相の突然の退陣表明に混乱した。小沢氏は「今までなかったことを引き出した」として「撤退命令」を出したが、首相批判の急先鋒(せんぽう)、松木謙公氏は収まらなかった。
 小沢氏の側近議員らは衆院議員会館内での会合で、グループとしては不信任案に反対する方針を確認。だが、松木氏は「グループを抜けて自由に行動させてもらう」と席を立ち、既に開会中の衆院本会議に向かった。

 松木氏は本会議場に入る直前で同僚議員に両脇を抱えられ、いったんは議員会館に連れ戻された。しかし、同僚の制止を「離せ」と振り切って、再び本会議場に。渡部恒三最高顧問の「親分に義理立てする必要はない」との説得にも応ぜず、賛成票を投じた。 

 小沢氏以外に不信任案採決を棄権したグループの議員は13人。小沢氏は同日夜、側近議員を都内のカラオケ店に集め、「みんなの結束が退陣に結びついた。次の戦いに向けて結束して頑張ろう」と労をねぎらったが、出席者の一人は「お通夜のような会だ」とやりきれない表情を浮かべた。(2011/06/02-22:16)

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201106/2011060200973




小沢氏棄権 鳩山氏に裏切られた
 菅直人首相は2日昼の党代議士会で、東日本大震災や福島第1原発事故収束に一定のめどがついた段階での退陣を表明した。しかし、同日夜の会見では、来年1月に予定される原発事故の冷温停止がめどだと発言。先月31日、鳩山氏に来年9月までの続投を宣言していたことも判明した。早期退陣の意思などなく、内閣不信任決議案に反対した同僚議員をだまし打ちにしてまで、政権にしがみつきたい姿が露呈した。不信任案は否決されたが、今日3日以降、「菅降ろし」の動きが強まりそうだ。

 前日、内閣不信任案可決に自信を示していた小沢一郎元代表にとって、造反を明言していた鳩山由紀夫前首相らの“心変わり”で否決となり、はしごを外された形となった。菅首相サイドへの「圧力」で辞任カードが出たことに一定の成果を強調したが、不信任可決をしのいだ菅首相が早々と政権居座りを宣言したことを受け、菅首相にだまされた鳩山氏に、さらに裏切られた小沢氏の猛反発は避けられない。

 小沢氏は投票を棄権し、議員会館の自室で同僚議員と見守った。支持議員は、「(鳩山氏の対応は)論外だ」とぶちまけたが、小沢氏は「(退陣という)今までなかったことを引き出した。(投票は)自主判断でいいだろう」と述べた。夜には、東京・六本木のカラオケ店で約2時間半、支持派議員約40人と会合を持った。出席者によると、小沢氏は首相の退陣表明を「半歩前進した」と評したが、鳩山氏については一切言及しなかったという。ある議員からは「菅内閣ではだめだ。あと1カ月で辞めればいい」との声も上がった。

 一方、棄権した小沢氏と対照的だったのが側近の松木謙公元農水政務官。同僚議員の再三にわたる説得を拒否し、涙ぐみながら不信任決議案に賛成票を投じた。「小沢さんは小沢さん。僕は僕。信任できないなら賛成した」と述べた。投票前に、不信任否決への流れが決まったことを知らされた際には「何言ってんだ。おれは、まじめにやってんだ!」「みんなおかしいよ。自民党も民主党も、おかしいよ」とぶち切れる場面もあった。

 夜の会合では、出席議員から「松木さんが除名(処分)なら、我々も離党する」との声が出ており、菅首相の対応に反発した小沢グループが、大量離党する可能性も出てきた。

 [2011年6月3日8時0分 紙面から]










おまけ
 小沢ガールズの1人、三宅雪子氏(同)は、昨年秋にマンションから転落した時のけがで、3日に手術を受けるために入院中。採決には「車いすでも、ストレッチャーに乗ってでも出たい」と記者に話していたが、直前になって体調不良を理由に棄権した。

 三宅氏は2日午前、自身のツイッターで、「信任されなかったら、解散する。もうこの(首相の)言葉だけで不信任に値するでしょう」とつぶやいていた。(石川瀬里)