東京都立川市の「日月警備保障立川営業所」から現金約6億円が強奪された事件で、警視庁立川署捜査本部は1日未明、強盗傷害などの疑いで住所、職業不詳植木秀明容疑者(31)を逮捕した。また同容疑で同渡辺豊容疑者(41)を指名手配した。2人は逃走車両を乗り換え、さらにナンバープレートを付け替えていた疑いも判明。事件前後、両容疑者と頻繁に携帯電話で通話していた10人近いグループが車両を準備するなど、組織的に逃走を支援していたとみて調べている。
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捜査本部によると、植木容疑者は逮捕容疑について「考えさせてほしい」と供述。奪ったとされる現金などは見つかっていない。捜査本部は1日、逮捕の際にいた東京都日野市の実家アパートを家宅捜索した。
一方、渡辺容疑者の元妻によると、同容疑者は4月末に埼玉県内のアパートを出てから連絡が取れず、事件直後の5月中旬に離婚届が郵便受けに投げ込まれていた。
両容疑者は、半年以上前に鍵が壊れていたシャワー室の窓から営業所に侵入したとみられ、捜査本部は内部事情に詳しい者が関与するなどしたとみて調べている。
植木容疑者の逮捕容疑は5月12日未明、渡辺容疑者と同営業所に侵入し、男性警備員(36)を粘着テープで緊縛。刃物で刺すなどして金庫室から現金約6億円を奪って車で逃げた疑い。
事件の数時間前には、八王子市内のコンビニで両容疑者とみられる2人組が、粘着テープを購入した様子が防犯カメラに写っていた。
また、営業所の防犯カメラの映像で、2人は警備員から金庫室の暗証番号を聞き出した後、植木容疑者が見張り、渡辺容疑者が現金を運び出したとみられることが判明。
その後は渡辺容疑者が車を運転して中央自動車道で茨城県の常磐自動車道・谷田部インターチェンジまで逃走。途中で車の乗り換えやナンバーの付け替えの疑いがあり、捜査本部は犯行グループが逃走を手助けした可能性があるとみている。
また、警視庁は1日、被害額を精査した結果、約5億9953万円だったと修正。強盗事件の現金被害で過去最高には変わりはない。
(2011年6月2日)
6億円強奪容疑、手配の41歳男を逮捕 警視庁
2011/6/3 8:01 (2011/6/3 10:00更新)
東京都立川市の警備会社「日月警備保障」立川営業所から現金約6億円が強奪された事件で、警視庁立川署捜査本部は3日未明、強盗傷害容疑などで指名手配していた住所不定で職業不詳、渡辺豊容疑者(41)を逮捕した。逮捕者は同、植木秀明容疑者(31)に続き2人目。捜査本部によると、渡辺容疑者は「30歳ぐらいの男と強盗に入ったのは間違いない」と容疑を認めている。
逮捕された際、現金約500万円と着替えが入ったキャリーバッグを所持。捜査本部は奪われた金の一部とみている。
渡辺容疑者らは事件前後、暴力団関係者が使っていたとみられるものも含め約10台の携帯電話と受発信しており、暴力団関係者らでつくる強盗グループが関与した疑いがある。捜査本部は国内の現金被害としては最高額となる強奪事件の全容を解明する方針。
捜査関係者によると、3日午前2時ごろ、「(渡辺容疑者が)出頭したいと言っている」と捜査本部に男性の声で公衆電話から電話があった。約30分後、指定されたJR品川駅前に捜査員が駆け付けると、キャリーバッグを持った渡辺容疑者が1人で立っていた。捜査員に対し、「タクシーで来た」と話したという。
逮捕容疑は植木容疑者と共謀の上、5月12日未明、日月社の営業所に侵入。宿直の男性社員(36)に刃物で切り付けるなどして全治2カ月の重傷を負わせ、金庫室の暗証番号を聞き出し、現金約6億円を奪うなどした疑い。
捜査本部は立川営業所周辺や高速道路近辺に設置された防犯カメラの映像を解析し、逃走した白っぽい車の行方を捜査。中央自動車道国立府中インターチェンジ(IC)から上り線に入り、茨城県つくば市の常磐自動車道谷田部ICを通過したことが分かった。また運転していた男が渡辺容疑者に似ていることも判明し、5月31日に逮捕状を取り行方を追っていた。
逃走車両は高速道路を何回か乗り降りしたり、ナンバープレートを付け替えたりしており、捜査本部は、渡辺容疑者と植木容疑者が実行役で、逃走を支援したグループがいるとみている。このため両容疑者の交友関係や携帯電話の通話先などを捜査している。
6億強奪、連絡は犯行前日から…組関係者仲介か
東京都立川市の警備会社「日月(にちげつ)警備保障」立川営業所から現金約6億円が奪われた事件で、強盗傷害容疑などで逮捕された渡辺豊容疑者(41)と植木秀明容疑者(31)の携帯電話による連絡が、事件前日から急に始まっていることが、捜査関係者への取材でわかった。
2人はそれまで面識がなかったとみられ、警視庁は、暴力団関係者らで組織する強盗グループが事件直前に2人を引き合わせ、実行犯に仕立てたとみて捜査している。
捜査関係者によると、同庁で渡辺、植木両容疑者が使っていた携帯電話の通話履歴をそれぞれ調べたところ、事件の前日の5月11日から数回の通話が確認されたが、それ以前の1か月間は一度も通話がなかった。
これまでの捜査でも、2人の接点は確認されておらず、渡辺容疑者は調べに対し、「30歳ぐらいの男と強盗に入ったのは間違いない」と、植木容疑者の名前さえ知らないかのような供述をしているという。
(2011年6月4日03時01分 読売新聞)
2011年6月1日 01時02分
6億円強奪容疑で暴力団関係者2人に逮捕状 組織的関与か
東京都立川市の「日月警備保障立川営業所」で5月12日未明、6億400万円が強奪された事件で、警視庁立川署捜査本部は31日、強盗傷害と建造物侵入の疑いで、30代と40代の暴力団関係者の男2人の逮捕状を取った。捜査本部は、2人が実行役で、暴力団が組織的に関与したとみて調べている。
捜査本部によると、事件前日の深夜、東京都八王子市内のコンビニで、犯行に使ったとみられる粘着テープを買う2人組の男が防犯カメラに写っていた。この後、現場近くの防犯カメラにも車に乗った2人の映像が残っており、捜査本部はこの2人が実行役との見方を固めた。
捜査本部が、2人のうち1人の携帯電話の通話履歴を調べたところ、事件前後に10人以上と頻繁に通話していたことが判明。通話先に東京都内を本拠地とする暴力団の関係者が複数いることから、暴力団による組織的犯行とみている。
事件は5月12日午前3時5分ごろ発生。鍵の壊れたシャワー室の窓から侵入したとみられる2人組の男が、ソファで仮眠中だった男性警備員(36)の首を押さえて粘着テープで顔や手を縛った上、刃物で胸や脚を切りつけるなどして金庫室の暗証番号を聞き出し、布袋約70個に入った現金を奪って逃げた。
捜査本部は、犯人が防犯カメラの死角に車を止め、警備員が仮眠中に侵入後、約15分で逃走した手際良さなどから、内部事情をよく知る者が手引きした疑いがあるとみて捜査している。
日月警備保障の事件は、2004年に栃木県の運送会社で5億4255万円が奪われた事件を上回り、国内の強盗事件の被害額では過去最高。
(中日新聞)