ページ

2011/05/01

原子力安全・保安院によると、溶融スラグの放射性セシウムの濃度は、専用のドラム缶に詰め、コンクリートの囲いをした地下施設に保管することが求められるレベルだという

下水汚泥に高濃度放射性物質
5月1日 19時2分
 福島県郡山市にある下水処理施設の汚泥などから、比較的高い濃度の放射性物質が福島県の調査で検出されました。処理された汚泥は県外に運ばれて、セメントの材料として再利用されていたということで、福島県では追跡調査を行っています。

放射性物質が検出されたのは、福島県郡山市日和田町にある県の下水処理施設「県中浄化センター」です。


福島県が先月30日まで行った調査の結果、汚泥からは1キロ当たり2万6400ベクレル、汚泥を焼き固めた「溶融スラグ」からは33万4000ベクレルの放射性セシウムが検出されたということです。このうち、溶融スラグから検出されたセシウムは、原発事故の前に処理されたものと比べると、およそ1300倍に達するということです。

福島県では「地面の放射性物質が雨で下水に流れ込み、処理の過程で濃縮されたのではないか」とみています。

この浄化センターから出る汚泥は、県外に運ばれてセメントの材料として再利用されていたということで、県では、当面の間、再利用を見合わせるとともに、原発事故のあとで搬出された汚泥がどのように使われているのか、追跡調査を行っています。

また、県内の同様の施設でも汚泥などの調査を行うほか、作業員の健康に影響がないか調べるとともに、作業員の安全確保や、放射性物質を含んだ汚泥の処理などについて、早急に方針を示すよう国に求めています。

この問題を受けて、国土交通省は、原子力安全・保安院に報告したうえで、環境省など関係機関と調整を図って、汚泥を安全に処理する方法などを検討することにしています。

汚泥は、対応が決まるまで浄化施設に保管するしかなく、国土交通省は「このままでは汚泥がたまっていくことになる。これまでにないケースなので、どのように処理するのか不明な点が多いが、できるだけ速やかに対応を決めたい」と話しています。





下水汚泥から放射性物質…福島
 国に処理方針策定要請
 東京電力福島第一原発事故を巡り、福島県は1日、県中浄化センター(郡山市)で処理した下水汚泥と、汚泥を焼却して乾燥させた溶融スラグから高濃度の放射性物質が検出されたと発表した。

 県は放射性物質を含む雨水が大量に流れ込んだためとみている。汚泥の一部は再利用目的で県外のセメント会社に搬送されており、県は追跡調査を行う。また、放射性物質を含む汚泥の取り扱い方には国の基準がなく、県は同日、処理方法や作業員の安全確保の方針などを定めるよう国に要請した。

 県によると、4月22日に溶融炉周辺の放射線量を測った際、郡山市中心部の数値の数倍に達したため、28日に汚泥とスラグの濃度を測定。汚泥は放射性セシウムが1キロ・グラムあたり2万6400ベクレル、スラグは同33万4000ベクレルが検出された。事故前に処理したスラグの1300倍以上の濃度となっている。

 県は測定結果を受け、スラグの貯蔵施設への立ち入りを制限し、セメント会社への搬送も中止した。

 汚泥と溶融スラグから検出された放射性物質の濃度は、原発から出た放射性廃棄物の処理法を定めた原子炉等規制法に当てはめると低レベル放射性廃棄物に当たる。原子力安全・保安院によると、溶融スラグの放射性セシウムの濃度は、専用のドラム缶に詰め、コンクリートの囲いをした地下施設に保管することが求められるレベルだという。

(2011年5月2日 読売新聞)






福島第一原発事故-福島県郡山市の下水汚泥、溶融スラグから高濃度の放射性セシウムを検出
[ 2011/05/03 ]
2011年5月1日、福島県では郡山市の下水処理施設の「下水汚泥」と、それを焼却してできる「溶融スラグ」から高濃度の放射性セシウムが検出されたことを発表した。同県では、この下水処理により放射線汚染が拡散するかどうかについては調査中としている。
(参考:福島第一原発事故-水道水の放射性物質検出量は軽減傾向も下水に関しては基準値もなく値も不明)

下水処理に関する安全基準値や計測データもなく、放置されている現状が危惧されていたのは、4月12日既報の通りである。今回の福島県の検出を受け、5月2日に国土交通省は、原子力安全・保安院と緊急協議を行う。対策としては各自治体に対し、下水汚泥の放射性物質の計測を通達するとみられている。

今回、放射性セシウムが検出された施設は福島県中浄化センター。4月30日に検査を行い、下水汚泥は2万6400ベクレル/kg、溶融スラグは33万4000ベクレル/kgという高濃度の汚染が確認された。当初危惧していた通り、降雨により放射性物質が下水に集積されたことが原因とみられる。半減期の短い放射性ヨウ素に比べ、放射性セシウムは半減期が30年となる。

下水汚泥は多くの自治体で再利用サイクルが確立している。建材や、埋め立て、燃料などの再利用が行われているが、今まで全く放射線汚染に対する検査体制もなく、マニュアルも存在していなかった。下水道に関してはインフラの復旧で手一杯であった現状は理解できなくもない。しかし、今回の対応も「泥縄」という批判の声が上がってくるのは避けられないであろう。






下水汚泥セシウム 国に対策 県が緊急要望
2011年05月03日
 郡山市の下水処理施設「県中浄化センター」の下水汚泥などから高濃度の放射性セシウムが検出された問題で、県は2日、敷地内と周辺の計22カ所の空気中の放射線量のモニタリング結果を公表した。汚泥を燃やして出来た砂状の「溶融スラグ」の置き場から50メートル以内では最大で毎時2.9マイクロシーベルト。敷地境界付近では2.8マイクロシーベルト、敷地境界から1.5キロ以内の地域では2.6マイクロシーベルトだった。いずれも郡山市内のほかの地域と比べて2倍近い数値だった。

 この問題で、内堀雅雄副知事は同日、官邸を訪れ、菅首相に、下水処理施設を安全に運用するための対策を検討するよう求める緊急要望書を提出した。県内62カ所ある下水処理場でも同様の事態が懸念されることから、要望書の提出に至ったという。