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2011/05/28

高濃度の放射性物質に汚染された水があふれ出る恐れ

汚染水“雨で流出のおそれ”
5月28日 12時59分






東京電力福島第一原子力発電所では、原子炉を冷やすための注水が行われているため、施設内にたまっている高濃度の放射性物質に汚染された水の量が増えています。今後の雨で、汚染水の水位がさらに上昇し、海や地下水に流れ出すおそれがあるとして、東京電力は注意深く監視しています。

気象台によりますと、福島第一原発の周辺では、前線や台風の影響で29日から30日にかけてまとまった雨が予想されています。

一方で、福島第一原発では、原子炉を冷やすための注水が行われているため高濃度の放射性物質に汚染された水が出続けていて、トレンチと呼ばれるトンネルのたて穴の部分や汚染水の移送を中断している2号機と3号機のタービン建屋でたまっている汚染水の水位が上昇しています。

28日午前7時現在、トレンチの水面から地上までの高さは2号機で57.6センチ、3号機で43.1センチとなっています。東京電力は、今後の雨でトレンチやタービン建屋などの施設にたまった汚染水の水位がさらに上昇し、海や地下水に流れ出すおそれがあるとして、注意深く監視しています。

また、敷地内に飛び散った放射性物質が流れ出さないよう、東京電力は、敷地内の地面やがれき、それに原子炉のある建屋などに流出を防止する特殊な処理剤の散布を行っていますが、雨で作業は中断されています。雨の降り方によっては新たな作業が追加されたり、必要な作業が中断されたりして、事故の収束に向けた工程表のスケジュールに影響を与えることも予想されます。






2・3号機、汚染水あふれ出す恐れ
 福島第一原発では、2号機と3号機からの高濃度汚染水の移送を止めていることからトレンチの水位が上がり続けていて、地表にあふれ出す恐れが出てきています。

 福島第一原発では、燃料を冷やすために原子炉へ注入されている水がタービン建屋の地下やトレンチに漏れ続けています。このうち、汚染度が特に高い2号機と3号機からは流出を防ぐために移送作業が行われていましたが、移送先の施設が当初の計画量一杯に近づいたため、移送は26日で全て止められています。

 その結果、トレンチの水位は上がり続けていて、28日午前7時の時点で3号機では地表まであと43センチに相当する値となっています。東京電力では、トレンチをコンクリートで塞ぐ作業を急いでいますが、雨の影響でも水位は上がり、あふれる恐れが出てきました。












“満杯”汚染水 台風の危機 流出対策まだ不十分?
2011年5月29日 07時11分

 福島第一原発に事故後、初めて台風が近づいている。三十日午後にも東北地方に接近する。東京電力は強風や大雨の影響で、敷地内にたまる高濃度の放射能汚染水や、放射能を帯びたちりが外部に出ることを懸念。対策を進めているが、政府と東電の統合対策室でも十分ではないとの見方が出ている。

 東電は台風のリスク(危険性)として、敷地内のちりが散乱したり、豪雨で汚染水が流出したりする恐れを挙げている。既に地表にちりを固めて飛散を防ぐ薬剤を散布し、二十七日からは建物への吹き付けも始めた。

 東電の松本純一原子力・立地本部長代理は二十七日の会見で「最大限やっている」と自信をみせたが、細野豪志首相補佐官は「万全とは言えない」と不安をのぞかせた。背景には、建屋地下にたまる汚染水の扱いに苦慮している事情がある。

 タービン建屋や原子炉建屋などの地下には、高濃度の放射性物質を含む汚染水がたまっているが、その水位が地下水を上回ると外部に染み出す恐れが高まる。危険ラインまで既に一メートルを切っている。移送先の集中廃棄物処理建屋でも二メートル弱しかない。

 1、3、4号機の原子炉建屋は屋根が大破しており、雨水の流れ込みを防げず、地下の汚染水が増えることが予想される。地下水の水位も上がるが、地震でタービン建屋地下は壁にひびが入っている可能性を東電も認めており、水の微妙なバランスが崩れて漏出することも考えられる。

 また、たまり水の水位が海抜四メートルの海岸近くの岸壁を上回ると、地下トンネルを通じて海に流れ出す恐れがある。過去二回の汚染水流出はこのルート。東電はトンネルの開口部をコンクリートなどでふさいでいるが、止水が完全とは言い切れない。このほか原発専用港湾内にたまっている放射性物質を含んだ海水が外洋に拡散することも心配されている。

(東京新聞)