福島第一原発では、1号機から3号機でメルトダウン=炉心溶融が起きていたことが明らかになりましたが、NRC=アメリカ原子力規制委員会は、事故発生から数日の時点で「溶融が起きている可能性が高い」と認識していたことがわかりました。
「我々は、事故から2、3日の段階で、燃料棒に大きな被害が出ていると確信していました」(NRC ボーチャード運営総局長)
NRCのボーチャード運営総局長は26日、講演の中でこのように述べ、福島第一原発の事故発生から2、3日の時点で、計測された放射線量などから、炉心溶融や使用済み燃料プール内の燃料棒の損傷が起きている可能性が高いとみていたことを明らかにしました。
そして、アメリカ政府が福島第一原発から80キロ圏内のアメリカ人に対して行った避難勧告についても、こうした認識が判断の材料となったと述べました。
また、福島での事故を受けて全米104の原発で行われている安全性の検証作業については、現在のところ、緊急停止が必要な欠陥は見つかっていないものの、想定外の自然災害に対応できるかを含め検証を続け、7月をめどに報告をまとめるとしています。(27日08:29)
炉心溶融「震災数日後には確信」 米NRC事務局長
2011年5月27日10時17分
米原子力規制委員会(NRC)のボーチャード事務局長は26日、東京電力福島第一原子力発電所で、核燃料の大部分が原子炉圧力容器の底に落ちる炉心溶融が起きていた可能性について「東日本大震災が発生した数日後には、そう確信していた」と述べた。
日米交流団体「ジャパン・ソサエティー」がニューヨークで開いた講演会のあとの会見で述べた。根拠について「(当時観測されていた)高いレベルの放射線は、かなり深刻な燃料損傷が起きない限りあり得ないからだ」と述べた。
NRCは大震災発生から5日後、同原発から50マイル(80キロ)圏内の米国人に対する避難勧告を出しているが、「(炉心溶融など)深刻な事態が起きていることがすぐにわかったことが、そう勧告した理由の一つだった」と話した。
米、「深刻な炉心損傷確信」 福島、地震発生の数日後
【ニューヨーク共同】米原子力規制委員会(NRC)のボーチャート事務局長は26日、福島第1原発の1号機に加え、2、3号機でもメルトダウン(炉心溶融)が起きたとされたことに関し、NRCは「多くの兆候から、地震発生の数日後までに、深刻な炉心損傷が起きていると確信していた」と述べた。
ニューヨークのジャパン・ソサエティーで行った講演後、記者団の質問に答えた。
ボーチャート氏は、1~3号機の原子炉圧力容器内の燃料損傷や、使用済み燃料プールの破損を強く疑ったため、米国民に対する避難勧告の範囲を「福島第1原発から半径80キロ以内」に設定したと説明。
その上で「極めて不確実な状況だった。当時、われわれが分かっていたこと、分かっていなかったことを踏まえれば(80キロの設定は)過剰反応ではなかったと考えている」と強調した。
2011/05/27 11:49 【共同通信】