菅総理はビンラディン容疑者の殺害について、「アメリカをはじめとする各国が、長期にわたり一致団結してテロとの闘いを行ってきた結果である。今回のテロ対策の顕著な前進を歓迎するとともに、アメリカやパキスタンをはじめ関係者の努力に敬意を表する」との談話を発表しました。
菅総理は談話の中でこのように述べるとともに、今後もテロ対策に万全を期す考えを表明しました。(02日17:41)
「テロ対策の前進」と首相談話 ビンラディン容疑者殺害
2011年5月2日18時37分
オサマ・ビンラディン容疑者の殺害について、菅直人首相は2日、テロ対策の顕著な前進として歓迎する談話を発表した。今後も国際社会が協力してテロとの戦いを進める必要があるとの考えも表明している。談話全文は、次の通り。
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本日、オバマ大統領は、米国同時多発テロその他数多くのテロ事件の首謀者であるオサマ・ビンラディンが殺害されたとの声明を発表した。
本件は、米国を始めとする各国が、国際テロの防止と根絶に向け、長期にわたり一致団結してテロとの戦いを行ってきた結果である。我が国としても、これまでアフガニスタン及びパキスタンに対する協力をはじめ、テロの脅威への対処に積極的に参画してきたところ、今回のテロ対策の顕著な前進を歓迎するとともに、米国やパキスタンをはじめ、関係者の努力に敬意を表する。
オサマ・ビンラディンの死亡が確認されたが、アルカイダ等のテロリストが根絶されたわけではなく、現在もなおアフガニスタンやパキスタンをはじめ世界各地でテロ事件が発生しており、テロの脅威は依然として深刻である。テロ対策はこれで終わるものではなく、アルカイダの活動状況については今後とも注視し、テロ対策のあらゆる分野において国際社会が緊密に協調して息の長い取り組みを継続していくことが必要である。また、アフガニスタンの安定と復興に向けても、国際社会が緊密に協力して取り組んでいくことが必要である。
我が国としては、国家、国民の安全を確保するため、これまでも水際対策、国内における警戒警備、在外邦人の安全確保等の徹底に努めてきたところであるが、今回の事態を受けて、情報収集を含め、一層の対策強化を指示したところである。今後とも引き続きテロ対策に万全を期し、国際社会の取り組みに国際社会の責任ある一員として積極的かつ主体的に貢献してまいりたい。
官房長官“テロ対策の前進”5月2日 19時48分
枝野官房長官は、記者会見で、オサマ・ビンラディン容疑者の殺害について、菅総理大臣の談話を発表し、「殺害はテロ対策の顕著な前進だ」として、日本政府として歓迎する意向を表明しました。
この中で、枝野官房長官は「殺害はアメリカをはじめ各国が、国際的なテロの防止と根絶に向けて、長期にわたり一致団結して戦いを行ってきた結果だ。テロ対策の顕著な前進を歓迎するとともに、関係者の努力に敬意を表する」と述べました。そのうえで、枝野長官は「テロの脅威は依然として深刻であり、アルカイダの活動を今後とも注視し、国際社会が緊密に協調して、息の長い取り組みを継続していくことが必要だ。日本政府もテロ対策に万全を期していきたい」と述べ、引き続き警戒していく考えを強調しました。さらに枝野長官は、ビンラディン容疑者の殺害について、アメリカ政府から、オバマ大統領が声明を発表したときと同時に日本政府に通報があったことを明らかにしました。
菅首相「確認する」…ビンラーディン死亡で
政府は2日昼、首相官邸内の危機管理センターに、ウサマ・ビンラーディン死亡に関する情報連絡室を設置し、情報収集に努めた。
これに関連し、菅首相は同日昼、首相官邸で記者団に、「しっかり確認する」と述べた。
政府内では、ビンラーディン死亡について、旧支配勢力タリバンの影響力が弱まることなどで、アフガニスタンの治安の安定化につながると期待する声が強い。米軍などが主導したタリバンやアル・カーイダの掃討作戦を支援してきたことを踏まえ、「国際社会の取り組みが功を奏した」(外務省幹部)との指摘も出ている。一方、報復攻撃を懸念する見方もあり、米国と連携し、情勢を注視していく方針だ。
政府はアフガンに対し、5年間で50億ドルの支援を実施しており、引き続き人道分野や復興支援、治安回復を柱に支援を継続する方針だ。米国から人的支援を要請されていることを踏まえ、自衛隊の医官派遣の検討を急ぐことにしている。
(2011年5月2日13時18分 読売新聞)