2011年05月31日
「もんじゅ」の原子炉容器内に燃料交換用装置が落下したトラブルで、日本原子力研究開発機構は30日、装置の撤去に向け、原子炉上部に設置されていた仕切り弁「ドアバルブ」を撤去した。ドアバルブは、原子炉容器内の1次冷却材のナトリウムが、空気に触れて燃焼しないように設けられていた。
この日、クレーンで重さ22トンのドアバルブ(直径3メートル、高さ0・8メートル)を、最初は毎秒1ミリずつ、ゆっくりとつり上げていった。とりはずしたドアバルブは原子炉格納容器内に仮置きして、この日の作業を終えた。(高橋孝二)
もんじゅ、装置回収本格化 炉上部の機器撤去
(2011年5月30日午後6時19分)
日本原子力研究開発機構は30日、高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)で、原子炉容器内に落下した炉内中継装置の引き抜きに向け、装置回収に障害となる炉上部の大型機器の撤去を始めた。6月中旬に同装置本体を上ぶたの一部と一体で回収するのに向けた本格作業となる。この日は、外気を遮断するため大型機器にビニール製の覆いを付けて作業した。
同装置は重さ3・3トンの円筒状の構造物。昨年8月、燃料交換を終えて炉内から搬出するためつり下げた際に落下した。衝撃で継ぎ目が変形して上ぶたの穴に引っかかり、引き抜けなくなった。「スリーブ」と呼ばれる上ぶたの一部(約3・6トン)と一体で引き抜く工程とした。
この日は、炉上部にある大型機器として最初の撤去で、報道陣に公開された。冷却材のナトリウムが空気に触れないよう原子炉容器内に充てんされているアルゴンガスを隔離するため、上ぶたの開口部をふさぐ「燃料出入孔ドアバルブ」と呼ばれる重さ約22トンの大型機器に、メーカーの作業員ら23人がビニール製の覆いを取り付けた。
作業員は、クレーンに設置した新装置の荷重計を見ながら、慎重に約4メートルつり上げ、炉上部に仮置きした。
今後、ドアバルブと同容器上ぶたをつなぐ案内筒(重さ約46トン、長さ約3・5メートル、直径約1・9メートル)を取り外す。スリーブにつり下げる器具をボルトで固定し、最大約15・6メートルになるじゃばら式の簡易容器を取り付け、一体で引き抜く。