5月3日 17時40分
福島県郡山市の下水処理施設の汚泥などから放射性物質が検出された問題で、この処理施設から出た汚泥が栃木県にあるセメント工場に運ばれ、すでに道路などの建設資材として使われた可能性が高いことが分かりました。
この問題は、郡山市にある県の下水処理施設「県中浄化センター」の汚泥などから放射性セシウムが検出されたものです。
この処理施設から出た汚泥は、栃木県佐野市にある「住友大阪セメント」の工場で、セメントの材料として再利用されていましたが、住友大阪セメントによりますと、震災翌日の3月12日から先月30日までに928トンの汚泥が運びこまれ、多くが加工して出荷されて、栃木県や周辺の県で道路やビル、橋などの資材として使われた可能性が高いということです。
住友大阪セメントは、当面、栃木工場からのセメントの出荷を停止するとともに、工場にあるサンプルを調べて、すでに出荷したセメントにどの程度の放射性物質が含まれていたか調べることにしています。
汚泥がセメント原料に セシウム検出の処理場
住友大阪セメントは2日、福島県郡山市の下水処理場「県中浄化センター」で汚泥などから高濃度の放射性セシウムが検出された問題で、同社の栃木工場(栃木県佐野市)がこの処理場から出た汚泥をセメントの原料として使っていたと発表した。
同社によると、福島県がセシウムを検出したのは4月28日に採取した汚泥で、この日以降に受け入れた汚泥を使ったセメントは出荷していない。
だが、地震発生後の汚泥を使って製造したセメントの一部は、栃木県内や周辺の地域に既に出荷されており、ビルや道路などで使われた可能性があるという。同社は安全性や詳しい出荷先の調査を実施する。
セメント産業では下水の汚泥を原料として使うことが多く、栃木工場は震災前から県中浄化センターから汚泥を受け入れていた。同社は当面の間、栃木工場でのセメント生産を中止し、出荷も停止する。県中浄化センターからの汚泥の受け入れも安全が確認できるまで中止する。
2011/05/02 20:45 【共同通信】