2011年5月25日 14時46分
福島第1原発の1、3号機で、メルトダウン(炉心溶融)で溶けた燃料の一部が圧力容器から外側の格納容器に漏れ出し、その熱で格納容器が設計上の想定温度を大幅に超えた。その結果、高温に弱い配管の接合部が損傷した可能性の高いことが、東京電力が公表した炉心状態の分析結果から分かった。
分析によると、1号機ではメルトダウンしたとされる地震後約15時間の3月12日午前6時ごろから、格納容器の温度が急上昇。同9時ごろには300度を超え、13日午前零時ごろにかけ500度近くに達した。
正常な状態なら、格納容器の温度は60度前後で、設計上は138度までを想定。容器は厚さ数センチとそれなりの強度はあるが、外部につながる配管の接合部はゴムや金属で密閉してあり、300度を超えると溶けたり変形して蒸気や水漏れが生じる可能性がある。
東電は「あくまで解析上の数値で、実際に損傷しているかは未確認」としているが、圧力の状況から、1号機では、接合部の損傷も含め計7センチ相当の穴が開いているとの見方を示した。
3号機でも地震後約60時間でメルトダウンし、その約9時間後の14日正午ごろから格納容器の温度が大きく上がり始め、16日午後6時ごろ300度に達した。燃料の冷却水位が水位計の値より低いと想定した分析だが、東電は実際の状態もこの想定に近かったとみている。
一方、2号機も圧力容器が損傷したとみられるが、格納容器の温度上昇は200度までだった。ただ、東電は格納容器の圧力の実測値からすると、地震の約21時間後に計10センチ相当の穴が生じた可能性もあるとみている。これとは別に、2号機は15日朝、格納容器下部の圧力抑制室付近で爆発があり、損傷したとされている。
(中日新聞)