2011年4月13日11時6分
福島第1原発事故の国際原子力事故評価尺度(INES)の評価が旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と同じ最悪の「レベル7」に引き上げられたことを受け、国際原子力機関(IAEA)や米仏の関係機関が12日、それぞれ見解を表明した。
国際原子力機関(IAEA)のフローリー事務次長はウィーンの本部で記者会見し、二つの事故は「構造や規模の面で全く異なる」と強調。「チェルノブイリ原発では原子炉が爆発したが、福島第1原発は原子炉が東日本大震災後に自動停止した」と指摘した。
さらに、放出された放射性物質の量も「福島第1原発の37万テラベクレル(テラは1兆)に対し、チェルノブイリ原発は520万テラベクレルに達した」と規模の違いを挙げた。また「日本は避難地域を設定するなど当初から事態を深刻に受け止めていた」とも語り、対応は適切だったとの見解も示した。
仏放射線防護原子力安全研究所(IRSN)のグルメロン放射線防護局長も同日、「福島の事故は極めて深刻だが、チェルノブイリの事故と現時点で同じではないし、今後もそうだ」と述べ、安易な同列視に警鐘を鳴らした。
一方、米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長は12日、上院環境公共事業委員会の公聴会で、福島原発事故の状況に関し、「日々の大きな変化は見られないが、まだ安定した状態ではない」と指摘した。
同委員長は、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却を確保することが最重要だと強調。「原子炉の冷却能力を失えば、燃料棒がさらに劣化し、これまでよりも大規模な放射性物質の拡散が起きる可能性がある」と警告した。
[時事通信社]