菅首相の私的諮問機関「東日本大震災復興構想会議」の下部組織「検討部会」(部会長・飯尾潤政策研究大学院大教授)は20日、首相官邸で初会合を開いた。
飯尾氏は会合後の記者会見で、復興財源について増税案を含む複数の案を構想会議に提示する方針を表明した。
初会合では、出席者から復興財源としての消費税率引き上げに賛否両論が出た。ただ、飯尾氏は記者会見で、「(復興財源の)負担の問題は税制、復興債、その他の問題について予断なく議論していきたい。オプションをたくさん示すことになる」と明言した。
検討部会は、構想会議の指示や同部会専門委員の提案に基づき、復興計画策定に必要な課題について、5月上旬をめどに議論を集約、構想会議に報告することを目指している。
(2011年4月20日20時27分 読売新聞)
東日本大震災:復興会議で増税具体案検討へ 意見集約難航も--検討部会
政府の「東日本大震災復興構想会議」(議長・五百旗頭真防衛大学校長)の下に設置された「検討部会」(部会長・飯尾潤政策研究大学院大教授)が20日、首相官邸で初会合を開き、構想会議で五百旗頭氏の提起した「震災復興税」の具体案などを検討課題とする方針を確認した。5月上旬に最初の報告をまとめる予定だが、メンバー19人の専門分野は多岐にわたる。初会合で出た意見も文明論から原子力災害の復旧まで幅広く、意見集約の方向性も定まらないまま手探りの議論が始まった。
「非常に大きな財政赤字を毎年蓄積している中で復興財源を出さないといけない。改革も同時並行的に続けながら復興を優先する複合的なプランが必要になる」。飯尾氏は初会合で政府の財政難に触れ、消費税引き上げを含む税と社会保障の一体改革を念頭に、増税論議に踏み込む考えを示した。
河野龍太郎BNPパリバ証券チーフエコノミストも「国債発行というこれまでと同じ対応をすると、復興費用を将来世代に押し付ける。それは避けるべきだ」と増税論議を提案した。政府・民主党が11年度第2次補正予算の編成へ向け検討している震災復興債の償還財源に消費税や所得税の増税分を充てるなどの案が想定されており、飯尾氏は記者会見で「我々はオプション(選択肢)をたくさん示し、親会議が決める」と述べた。
しかし「親会議」の構想会議メンバー16人(梅原猛特別顧問も含む)と合わせると、復興ビジョンづくりに携わる有識者は計35人に上る。構想会議が1次提言を目指す6月末までに議論を集約するのは至難の業だ。飯尾氏は検討課題について「数十と出てくるのを1、2週間で(整理する)議論をしたい」と説明。週1、2回のペースで会合を重ねるのと並行し、専門分野別に数人のグループで非公式に作業を進める方針だ。
14日の構想会議では「官僚OB不在」の議論による実行力不足を懸念する意見も出た。飯尾氏は「各省庁に積極的に協力していただき、専門家、専門団体との連携も考えていきたい」と語ったが、検討部会に省庁の協力を得る仕組みづくりもこれからで、飯尾氏自ら「手探りだ」と認めた。【西田進一郎、小山由宇】
毎日新聞 2011年4月21日 東京朝刊
東日本大震災復興構想会議 検討部会 名簿
部会長:
飯尾 潤 政策研究大学院大学教授
部会長代理:
森 民夫 全国市長会会長、長岡市長
専門委員:
五十嵐 敬喜 法政大学法学部教授
池田昌弘 東北関東大震災・共同支援ネットワーク事務局長
特定非営利活動法人全国コミュニティライフサポートセンター理事長
今村 文彦 東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター教授
植田 和弘 京都大学大学院経済学研究科教授
大武 健一郎 大塚ホールディングス株式会社代表取締役副会長
玄田 有史 東京大学社会科学研究所教授
河野 龍太郎 BNPパリバ証券経済調査本部長・チーフエコノミスト
西郷 真理子 都市計画家
佐々木 経世 イーソリューションズ株式会社代表取締役社長
荘林 幹太郎 学習院女子大学教授
白波瀬佐和子 東京大学大学院人文社会系研究科教授
神成 淳司 慶應義塾大学環境情報学部准教授
竹村 真一 京都造形芸術大学教授
團野 久茂 日本労働組合総連合会副事務局長
馬場 治 東京海洋大学海洋科学部教授
広田 純一 岩手大学農学部共生環境課程学系教授
藻谷 浩介 株式会社日本政策投資銀行地域振興グループ参事役
(19名)
(五十音順、敬称略)
東日本大震災復興構想会議 via kwout
http://www.cas.go.jp/jp/fukkou/pdf/kousei.pdf