2011.4.13 20:52
「10年住めないのか、20年住めないのか…」
菅直人首相が13日、官邸で松本健一内閣官房参与と会った際、東京電力福島第1原発の半径30キロ圏の避難・屋内退避区域について、少なくとも10年間は居住が困難との認識を示したとの情報が駆け巡った。原発被害の深刻さを示す衝撃的な発言だけに、情報は一気に広がった。首相は同日夜、公邸に戻る際、記者団に「私が言ったわけじゃありません」と否定した。
情報の発信源は松本氏が首相との会談直後に行った記者団への説明。松本氏は「10年住めないのか、20年住めないのかということになってくると、そういう人々を住まわせるようなエコタウンを考えなくてはいけないということを言っていた」と発言。時事通信が首相発言として速報した。
波紋は全村避難の対象となっている福島県飯舘村にも広がった。住民への説明会の途中で情報に接した菅野典雄村長は「少しでも早く戻れるようにするのが政治家の仕事なのに、これが政治家の言葉なのか。全く悲しくてならない。直ちに抗議する」と涙ながらに訴えた。住民からは「そうだ」との声が上がった。
このため首相は、松本氏に電話をかけて記者団に情報を否定させた。ただ、松本氏は、長期間にわたって原発周辺が居住困難になる見通しを首相に説明したことは認めた。その上で移住先として内陸部に5~10万人規模のエコタウンを建設する案を示し、首相も賛同したことを明らかにした。
福島知事、「20年住めない」発言に「信じられない」
2011/4/13 19:47
福島県の佐藤雄平知事は13日、菅直人首相が「原発周辺についてそこに当面住めないだろう。10年住めないのか、20年住めないのかということになってくる」と語ったと伝わったことに対し「私どもは1カ月間、1日も早くみんな古里に戻ってもらいたいと思って苦労しているのに、そんな報道があったとはとても信じられない。その一言だ」と述べた。19時から開かれた県の災害対策本部会議で発言した。
松本健一内閣官房参与は「住めないというのは私の発言だ。首相は言っていない」と訂正。菅首相も記者団に「私の発言ではない」と否定した。
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819490E3E1E2E4EB8DE3E1E2E6E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
東日本大震災:「住めない」発言、批判続出 官房長官陳謝、松本氏注意へ
公明党の山口那津男代表は14日午前の党中央幹事会で、菅直人首相と松本健一内閣官房参与が会談で東京電力福島第1原発周辺地域に「10年、20年住めない」とやり取りしたことについて「だれ(どちら)が発言したか定かでなかったとしても、極めて無責任と言わざるを得ない。住民や関係自治体がどれほど影響を受けるかを踏まえて対応してもらいたい」と苦言を呈した。
社民党の又市征治副党首も同日の党常任幹事会で「評論家みたいなことを言う前に、自分たちはやることをやったのか。これまでは批判を抑えながら協力してきたが、積極的、建設的に批判していかなければならない」と首相を厳しく批判した。
首相と松本氏は13日に会談。松本氏は首相が「原発周辺に当面住めない。10年、20年住めないとなると、住み続けるのが不可能になる」と話したと記者団に説明したが、後に「私の話」と釈明、首相も否定した。
この発言を巡っては、福島県の佐藤雄平知事が13日夜の県災害対策本部会議で「一日も早く住民が古里に戻れるように願ってきた。信じられないの一言」と語気を強めて非難した。政府が計画的避難区域とした浪江町の植田和夫住民生活課長は「皆が復興に向けて頑張っている時にそのような話が出ること自体が残念」と訴え、第1原発1~4号機がある大熊町の鈴木久友総務課長も「発言が本当なら何を言っているのかという思いで信じられない」と話した。
枝野幸男官房長官は14日午前の記者会見で「首相はそう言っていない」と重ねて否定したうえで「(会談で)首相がどう言ったか(を公表する際)、誤解を招かないように留意するよう徹底する」と述べ、松本氏を注意する考えを示した。また原発周辺住民に対し「結果的に心配をおかけすることになり大変遺憾」と陳謝した。【野原大輔、岡崎大輔、種市房子、金寿英】
毎日新聞 2011年4月14日 東京夕刊
【原発】川俣町町長は菅総理の“問題発言”に激怒(04/15 00:05)
菅総理大臣が「福島原発の周辺に当面住めない」と発言したとされることについて、新たに計画的避難区域に設定された福島県川俣町の町長が強く批判しました。
福島県川俣町・古川道郎町長:「『20年は戻れない』などととんでもないこと。現場の苦労をどれほど分かっているのか、我々そう思いますよ」
川俣町の古川町長は、このような報道が出てくる総理官邸の状況にいら立ちをあらわにしました。会談のなかでは、古川町長が「計画的避難区域の指定に住民は大変な不安を抱いている。地元の声をじかに聞いて対応してほしい」と要請、菅総理は「避難にかかる補償を含め、国が全責任を持って取り組む」と述べたということです。
“首相発言” 飯舘村「国操る人の言葉か」
復旧のメドが立たない原発。計画的避難によって村ごとの避難を余儀なくされる福島県飯舘村の住民たちは、今後の選択を迫られています。13日に住民への説明会が行われ、不安の声が上がりました。
「私の時代はいいのです。息子の時代のときに困るのです。投資して農業で食っていくって頑張ってきました。(今は)何もありません」(飯舘村の村民)
全ての住民が「計画的避難区域」の対象となった福島県飯舘村では、13日に住民集会が行われていました。その説明会が一変します。それは、菅総理が述べたとされる発言です。
「これが国を操る人の言葉ですか。ふざけないでください」(飯舘村 菅野典雄村長)
「当面住めないだろう。10年20年住めないのかということになってくると、再び住み続けることが不可能になってくる」
13日、菅総理と会談した松本内閣官房参与が、原発周辺の避難地域について、菅総理がこう述べたと明らかにしたのです。
「少しでも早く戻れるように国が一生懸命やりますよというのが政治家の仕事でしょ。一国を操る人の言葉がなんという心ない話なんだ。本当だとしたら我慢なりません。まったく・・・悲しくてなりません。ぜひ、皆さんとともにこの言葉をすぐにでも撤回させないと、私たちは避難どころでもなんでもないと思います。こんな話を、たとえそうだとしても、もっと言い方があるはずじゃないですか。こんな心ない政治家がやっていたのであれば、たまったものではありません。どうか、よろしく協力をお願いします。一生懸命、私もやります」(飯舘村 菅野典雄村長)
松本氏は、その後、菅総理から「言っていない」という電話がかかってきたことを明らかにし、当初の説明を撤回しました。
菅総理自身も・・・
Q.「原発周辺には当面住めない」という話は総理の発言ですか?
「私が言ったわけじゃありません」(菅直人総理大臣)
飯舘村では、計画的避難指示の発表前から村独自で自主避難を勧めていました。13日、福島市の温泉旅館には、飯舘村の乳幼児のいる家族4組10人が避難しました。しかし、これですべての問題が解消されたというわけではありません。
「娘たちは働いているので、急に(孫を)連れてきた」(避難してきた人)
一緒に避難できる保護者は一家族につき一人と決められていて、家族が離れ離れになってしまうのが現状です。
「大人も急に『計画的避難』と言われたが、今日(13日)の集会でまた何と言われるか・・・。1か月ここにいても家族は離れ離れに、アパートを借りなくてはいけないかも」(避難してきた人)
家族そろって安心して暮らせる日はいつになるのか、その問いに誰が、いつ答えるのでしょうか。(13日23:05)