2011年 4月 22日 13:59 JST
福島第1原発には、軍関係者以外ではあまり馴染みがない小型無人ヘリが投入されている。「Tホーク」と呼ばれる大きさが約45センチ程度の超小型無人機だ。時速80キロ・高度3000メートルの飛行性能を持ち、空中でホバリングしながらビデオ撮影や放射線量を測定する。
Tホークは米軍がイラクとアフガニスタンで偵察用としてこの2、3年間使われている。メーカーの米ハネウェルは、先月の大震災で被災し事故を起こした同原発を運営している東京電力にこの小型無人機4機供与し、原発施設の画像撮影や放射線量の測定を行った。
Tホークが戦地以外で使用されるのは初めて。被災後、東電と福島原発の復旧を目指すチームは当初、Tホークより大きく、よく知られている無人偵察機グローバルホークを投入して、原発施設上空の撮影などを行っていた。
Tホークは、地上のオペレーターがGPS衛星情報を利用して携帯用コンピューター上でタッチペンで操縦するもので、今回日本に送られた4台には赤外線感知器と放射線量測定器も装備されている。
Tホークはあらかじめ決められたルートを飛ばせるようにプログラミングすることも可能という。ハネウェルは現在、操縦者の指令なしで自動的に離陸きるように性能向上に努めている。同社の担当者はTホークについて「空飛ぶR2D2(映画『スターウォーズ』のロボットのキャラクター)と呼んでいる」という。
米陸軍と海軍は、これまでに爆発物の探知などにTホーク100機を約1500の戦闘任務に投入している。
福島第1原発では今月、2機のTホークの飛行時間が延べ5時間となった。Tホークの操縦者は放射線防護の移動式コンテナの中に入り、完全防護服や多重手袋、呼吸装置などを着用して操縦しなければならなかった。
操縦したハネウェルのジェフ・ランプキン氏は先週のインタビューで、雨や強風でTホークを飛ばせなかった日も数日あったと述べた。同氏とインストラクターのリンゼー・バラード氏の2人がハネウェルから福島に派遣された。関係者によると、Tホークはメンテナンス上の問題は起きず、高い放射線量の影響も受けなかったという。今回日本に送られたTホーク4機のうち、2機は予備。
ハネウェルの関係者は契約上、Tホークが福島第1原発施設のどの部分を調べたかについては明らかにできないとしている。ただ、国内報道によると、1号機から4号機まで問題を起こした4基すべての状況を調べたとされる。
同社は、今回の福島原発への投入を機に、警察・消防だけでなく民間でもTホークの利用が広がることを期待しているという。