2011年4月12日 朝刊
政府は十一日の持ち回り閣議で、東日本大震災の復興計画を議論する「復興構想会議」の設置を決定した。委員十五人と特別顧問一人で構成し、十四日に初会合を開く。六月末をめどに提言をまとめ、復興に向けた政府の基本方針に反映させる。
構想会議の議長には、阪神大震災の復興にも携わった五百旗頭(いおきべ)真・防衛大学校長を起用。菅直人首相は五百旗頭氏と官邸で会い、「復興の青写真を示し、国民の希望を支えてもらいたい」と要請した。
議長代理には建築家の安藤忠雄氏と御厨貴東大教授が就任し、有識者や被災地の宮城、岩手、福島の三県知事もメンバーに入った。特別顧問には哲学者の梅原猛氏が就いた。
政府が十一日に設置した東日本大震災復興構想会議は、「豊かで活力ある日本の再生」(閣議決定)の設計図を短期間で描くのが最大の使命だ。
復興構想会議は必要に応じ、国土開発や住宅対策など個別テーマごとに部会を開きながら議論を進める。菅直人首相は部会に加わる専門家に飯尾潤政策研究大学院大教授ら十九名を指名。政府は構想会議の提言を踏まえ、復興指針を策定する。
政府が復興指針の実施機関として設置を検討しているのが、「復興対策本部」(仮称)だ。首相が本部長を務め、復興担当相も任命する。政府は、対策本部設置を盛り込んだ復興基本法案を月内にも国会に提出し、復興体制の整備を急ぐ。基本法案では、復興構想会議の法的な位置付けも明確にする。
首相は、構想会議のメンバーとして防災や都市工学の専門家、地元知事に加え、哲学者や宗教者を起用した。日本人の生活様式や意識に踏み込んだ「単なる復旧にとどまらない将来を見据えた創造的復興」(枝野幸男官房長官)を目指すということだ。
首相は被災地再生の具体的イメージとして(1)高台に住宅街を築く(2)漁業従事者は漁港や沿岸部の加工工場に通勤(3)バイオマスなど新エネルギー発電を備えたエコタウンをつくる-を既に例示している。復興構想会議はこうした青写真を議論することになる。
菅内閣が参考にした阪神大震災の復興委員会は、一九九五年二月中旬の初会合から三カ月余りで「復興十カ年計画の基本的考え方」を政府に提言した。今回、復興構想会議が六月末までに基本的提言をまとめるには、それを上回るペースの議論が要求される。
東日本大震災復興構想会議 via kwout
http://www.cas.go.jp/jp/fukkou/pdf/kousei.pdf
東日本大震災復興構想会議 名簿
議 長:
五百旗頭 真 防衛大学校長、神戸大学名誉教授
議長代理:
安藤 忠雄 建築家、東京大学名誉教授
議長代理:
御厨 貴 東京大学教授
委員:
赤坂 憲雄 学習院大学教授、福島県立博物館館長
内館 牧子 脚本家
大西 隆 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授
河田 惠昭 関西大学社会安全学部長・教授
阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター長
玄侑 宗久 臨済宗福聚寺住職、作家
佐藤 雄平 福島県知事
清家 篤 慶應義塾長
高成田 享 仙台大学教授
達増 拓也 岩手県知事
中鉢 良治 ソニー株式会社代表執行役副会長
橋本 五郎 読売新聞特別編集委員
村井 嘉浩 宮城県知事
(15名)
(五十音順、敬称略)
特別顧問(名誉議長):
梅原 猛 哲学者