陸地にかかる力変化 数年続くとの見方
2011/4/13 0:15
国の地震調査委員会(委員長・阿部勝征東大名誉教授)は12日、11、12日に福島県で相次ぎ発生した地震を評価するための臨時会合を開いた。いずれも3月11日に発生した東日本大震災に誘発された内陸型地震で、余震の一種と考えられるという。秋田県から岐阜県にかけての東日本地域で、福島県の地震と同様に内陸地震の発生を活発化させているとしている。
両日の地震の震源は福島県浜通りで、11日には規模を示すマグニチュード(M)が7.0、12日はM6.3が最大だった。気象庁によるとこの地域は大きな地震がほとんど観測されていない「空白地域」。1930年代にM5以上の地震を数回観測して以来、大地震は起きていなかった。
ところが3月11日から1カ月の間にM5以上の地震が10回以上発生。阪神大震災と同じ内陸型地震で、地震の規模に比べて揺れが大きくなる特徴があるため震度が最大で6弱に達した。
東日本大震災後、長野県北部や静岡県伊豆地方でも比較的大きな地震が続いている。地震調査委は秋田県から岐阜県にかけて、16の地域で地震活動が活発になっていると指摘する。
東日本大震災は日本列島をのせる北米プレートに東から押し寄せた太平洋プレートが沈み込む過程で、北米プレートがひずみに耐えきれずに跳ね上がって起きた。これにより「(日本の)陸地にかかる東西方向の力が変化した」(阿部委員長)ことで、相次ぐ余震につながっているという。
防災科学技術研究所の岡田義光理事長は「国土地理院の観測によると、東北地方は4メートルくらい引き延ばされている場所もある」と指摘。陸地にかかる力が変化し、地震が少なかった地域で最近、多数の地震をもたらしているとみる。東北、関東、中部地方まで注意が必要だという。筑波大学の八木勇治准教授も「日本の断層がゆるんでいる」として、これらの地域で注意を呼びかける。
東北大学の松沢暢教授は、余震は「数年は続くと考えるべきだ。当面はM7クラスの地震が月に1度起きてもおかしくない」と指摘する。
また気象庁は12日、東日本大震災に伴う震度5強以上の余震が3日以内に発生する確率を10%と発表した。同庁は震度6弱~6強の余震が発生する可能性もあるとして注意を呼びかけている。
同庁によると、これまでに最大震度4以上を観測した余震は111回。岩手県沖から茨城県沖にかけて南北約500キロ、東西約200キロの範囲に震源域が密集。M5以上の余震も400回を超え、これまで最も余震活動が活発だった94年の北海道東方沖地震の約4倍に達する。同庁の長谷川洋平・地震情報企画官は同日午後、記者会見し、「今後も高いレベルの余震活動が続く」との見方を示した。
プレート境界型地震と内陸型地震その関係性