東電と経済産業省は、両社の提案をふまえて具体的な廃炉計画を策定する方針だった。だが東芝は、「福島第一原発という同じサイトなのだから、一緒にやろうと(日立側に)呼びかけている」(首脳)と述べ、日立との共同提案に切り替える方針
東芝、日立と共同で廃炉処理案…福島第一原発
東京電力の福島第一原子力発電所の事故に伴う廃炉について、東芝が日立製作所に対して、共同で廃炉処理を行う提案をしたことが13日、分かった。
原子炉メーカーでもある東芝と日立は、独自に廃炉作業の工程や作業年数などを示した提案を東電に行っていた。4基が同時に重大事故を起こし、それぞれの廃炉作業を並行して行うのは世界でも例がない。爆発事故の影響で作業が難航する恐れもあるため、東芝が共同での廃炉処理を日立に呼びかけた。日立も、東芝と共同での廃炉処理について前向きな意向を示しているが、廃炉処理を終えるまでには10年以上かかるとみられる。
東芝は子会社の米ウェスチングハウス(WH)など米国4社と共同で、廃炉処理案を今月4日に東電に提出している。提案によると、東芝陣営は、最短10年程度で廃炉作業を終了するとしている。
具体的には今後、半年間程度で原子炉内の冷却作業とがれき処理を行い、さらに5年間で燃料棒や貯蔵プールの使用済み燃料を取り出す作業を行う。その後の5年間で建屋や原子炉の解体、土壌改良を行って更地に戻すとしている。
一方、日立は、原子力事業を統合している米ゼネラル・エレクトリック(GE)や米プラント大手ベクテルなど7社による計30人の合同専門家チームを結成している。米スリーマイル島原発や旧ソ連のチェルノブイリ原発での復旧や処理作業にあたった経験を踏まえ、核燃料の取り出しや建屋・機器の除染、解体後の廃棄物の処分や最終的な解体までの作業・処理案を盛り込んでいる。すべての作業を終えるまでに約30年かかるとみられる。
東電と経済産業省は、両社の提案をふまえて具体的な廃炉計画を策定する方針だった。だが東芝は、「福島第一原発という同じサイトなのだから、一緒にやろうと(日立側に)呼びかけている」(首脳)と述べ、日立との共同提案に切り替える方針を示唆した。
(2011年4月13日14時33分 読売新聞)