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2011/04/03

環境省次官、温室効果ガス排出量25%削減の目標は見直しが必要

「温暖化ガス25%削減見直しも」 環境次官、原発事故で
2011/4/3 23:59
 【バンコク=高橋徹】環境省の南川秀樹事務次官は3日、タイのバンコクで日系メディアと会見し、2020年までに1990年比25%の地球温暖化ガス削減を目指す政府方針について「見直しも当然議論の対象になる」と述べた。福島第1原子力発電所事故を受けて、各国の原発推進政策は足踏みが必至で、目標達成は難しくなったとの認識を示した。



 南川次官はバンコクで同日開幕した温暖化対策の国連作業部会に出席した。日本の削減目標は原発の新設や稼働率引き上げを前提とし、福島第1原発の事故で「影響は受ける」と明言。原発事故が沈静化した段階で、与野党が提出している温暖化対策の関連法案での目標数値について「早い段階で国会で議論してほしい」と語った。

 温暖化対策交渉では「主導的な役割を果たして貢献したい」とする一方、自国の目標が揺らぐなかで「従来と同じように歯切れ良くモノが言えるかというと、影響はあるだろう」と述べた。

 会見に先立つ作業部会でのスピーチでは「現段階では日本の政策への影響は査定できない」と話すにとどめた一方、「温暖化対策に全力を尽くすことを約束する」と強調した。

 作業部会は年末に南アフリカで開催される第17回気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)に向けた今年最初の公式会合。13年以降の温暖化対策の国際的な枠組み(ポスト京都議定書)づくりを話し合う。昨年末のメキシコ・カンクンでのCOP16ではポスト京都の交渉の土台となる「カンクン合意」を採択。米中や途上国など今の京都議定書で温暖化ガス削減義務を負わない国にも削減努力を求めるもので、日本が強く主張してきた。一方、ポスト京都の不成立に備え、京都議定書の延長案も協議を続ける。







温室効果ガス排出削減目標、25%見直しも
【バンコク=深沢淳一】環境省の南川秀樹次官は3日、地球温暖化対策の国連作業部会出席のため滞在中のバンコクで日本メディアと会見し、福島第一原発事故の影響で、「2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で25%削減する」とした日本政府の目標は見直しが必要になる、との考えを示した。

 南川次官は、削減目標の前提には原発の新設や既存原発の稼働率向上が含まれているとして、「(事故による原発計画の見直しで)削減目標が大きな影響を受けるのは事実。年限、削減量とも見直しの対象になる」と語った。ただ、事故が収まっていない現時点で排出削減目標についての冷静な議論を行うのは難しいとして、「事態が落ち着いた後、国会で国民の合意を得て、新たな政策を設定していただきたい」と語った。

(2011年4月3日22時24分 読売新聞)



震災で温暖化ガス25%削減見直し
 【バンコク共同】タイのバンコクで3日に開幕した気候変動枠組み条約特別作業部会に出席した環境省の南川秀樹みなみかわ・ひでき事務次官は同日、記者会見で、福島第1原発の事故を受け、2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比25%削減するとの日本の数値目標は「見直し議論の対象になる」と述べ、再検討はやむを得ないとの認識を示した。

 一方、松本龍環境相は1日の記者会見で数値目標を「見直すつもりはない」と表明、国会で審議中の地球温暖化対策基本法案についても見直さない考えを示しており、南川次官の発言は波紋を広げそうだ。

 南川次官は、原発の増設や稼働率向上を考慮した上での数値目標が「影響を受けるのは否定できない」と指摘。ただ「事態が落ち着き冷静になってから、国会でオープンに議論することが必要だ」とも述べた。

 京都議定書に定めのない2013年以降の地球温暖化対策の協議では、日本の原発事故が今後の交渉に与える影響への懸念が浮上していた。

 作業部会では、今年11~12月に南アフリカのダーバンで開催される同条約第17回締約国会議(COP17)に向け、温室効果ガスの主要排出国である米国や中国を含めた実効性のある枠組み構築の議論を進展させ、具体化を目指す。日本は、従来の姿勢を変えず「重要な役割を果たし、温暖化との闘いを追求し続ける」と国際貢献を目指す考えを強調し、会場から拍手が湧いた。

 作業部会は8日までの日程。





東日本大震災:温室ガス25%減「見直し対象」 環境事務次官、原発新設困難で
 【バンコク西尾英之】環境省の南川秀樹事務次官は3日、福島第1原発の事故を受けて、「20年までに90年比25%削減」とした日本政府の温室効果ガス削減目標について「見直し議論の対象となる」と述べた。

 国連気候変動枠組み条約の作業部会出席のために訪れたバンコクで記者団に語った。25%削減達成は、原発9基の新増設と稼働率85%(09年度66%)を前提にしている。原発事故で今後の新設が困難になるとみられる。一方、松本龍環境相は1日の会見で「見直す必要はない」と述べ、目標達成に取り組む考えを示している。

 作業部会は3日開幕し、年末の同条約第17回締約国会議(COP17)へ向け、来年末で期限切れとなる「京都議定書」後の温暖化対策の枠組みづくりを協議する。

毎日新聞 2011年4月4日 東京朝刊