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2011/04/18

米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは「今回の地震は(国内で国債を消化しきれなくなる)転換点の到来を早めた可能性がある」と指摘する。

財源示した計画策定急務 G20「日本は世界経済のリスク」
2011.4.18 05:00
 日本時間の16日に閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、東日本大震災からの復興を目指す日本への支援を前面に打ち出した。震災に見舞われた日本を「世界経済のリスク」と認識したためだ。G20の結束の背景には日本経済を回復に導き、世界経済の下押し圧力を回避する狙いがある。

 G20は共同声明で、政情不安の中東・北アフリカと並び、日本を「経済面での不確実要素だ」と指摘した。震災で生産・物流機能が損壊し、部品供給が停滞した影響は海外にも波及。原発事故に伴う電力供給不足と個人消費の落ち込みは日本経済に影を落とし、復興に向けた巨額の財政出動で日本の財政が一段と悪化する懸念も強い。


 野田佳彦財務相はG20閉幕後の記者会見で、復興予算の柱になる第2次補正予算案の編成について「中期的な財政健全化の道筋とセットで出さなければいけない」と述べ、財政健全化路線を強調した。財源も含めた青写真を今年半ばにも示し、各国から信頼を取り付ける狙いだ

 だが、本格復興には累計10兆円超の財政出動が予想され、財源確保は簡単ではない。玄葉光一郎国家戦略担当相(民主党政調会長)も第2次補正予算以降の財源は「国債に頼らざるを得ない」との認識を示している。

 国債を増発すれば、財政健全化路線の先送りと市場に判断され、国債の売り圧力を高めかねない。国債価格が急落し長期金利が急騰すれば、利払い費増大で財政悪化に拍車がかかる。

 日本は国債発行の9割を国内で消化しているが、米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは「今回の地震は(国内で国債を消化しきれなくなる)転換点の到来を早めた可能性がある」と指摘する。

 G20では「あらゆる協力の用意がある」という声明とは裏腹に、具体的な支援策は打ち出されなかった。日本が「世界経済のリスク」という不本意な立場から抜け出すには、国内外にきちんと情報を発信する必要がある。そうしないと、各国から十分な支援も引き出せない。(本田誠、ワシントン・柿内公輔)