4月27日 19時24分
東京電力の福島第一原子力発電所の事故で、地震が発生した先月11日、政府に専門的な助言を行う原子力安全委員会は専門の調査委員40人に対し、携帯電話のメールで招集したものの、交通機関が止まっていたことなどからほとんど集まらなかったことが分かりました。
これは、27日に開かれた衆議院の決算行政監視委員会で原子力安全委員会の班目春樹委員長が初めて明らかにしたものです。
それによりますと、先月11日の地震と津波によって福島第一原発の1号機と2号機で冷却のための電源がすべて使えなくなったという通報を受けて、原子力安全委員会の緊急事態応急対策調査委員40人に対して、携帯電話のメールで招集したということです。
しかし、ほとんどの委員は連絡がつかず、連絡がついた委員も交通機関が止まっていたことから、内閣府にある原子力安全委員会に当日集まることができたのは歩いてきた数人だけだったということです。
また、国の防災基本計画では、災害時にはこうした調査委員らを現地に派遣することになっていますが、地震の直後には事務局の職員を1人派遣しただけで、実際に派遣したのは、1か月余りたった今月17日でした。
こうした一連の対応について、班目委員長は27日、「派遣が大変遅くなってしまった。失敗だったと思い反省している」と述べ、事故の情報収集や判断の態勢に問題があったことを認めました。
地震発生当日に原子力安全委員会の委員が参集したかどうかについて、これまで委員会の事務局は「明らかにすることはできない」と取材に応じていませんでした。
原子力安全委・班目委員長、福島第1原発電源喪失の一報受け集まったのは数人と明かす
原子力安全委員会の班目(まだらめ)委員長は、27日午後の衆議院決算監視委員会で、東京電力福島第1原発の電源喪失の一報を受け、40人の緊急事態応急対策調査委員を呼び出したものの、集まったのは数人の調査委員だけだったことを明らかにした。
班目委員長は、「安全委が示してきた指針類に、足りないものがあったことは明らか。安全委を代表して、実際に被害を受けた方々、国民におわび申し上げたい。安全審査の指針類は、抜本的な見直しを行っていくことをお約束したい」と謝罪したうえで、東日本大震災が発生した3月11日、福島第1原発の電源喪失の一報を受け、40人の緊急事態応急対策調査委員に携帯電話のメールで連絡をしたが、機能せず、その後も交通機関がまひしていた影響で、集まったのは数人の調査委員だけだったことを明らかにした。
また、国の防災基本計画では、災害時には、調査委員らを現地に派遣することになっているが、地震の直後には、事務局の職員を1人派遣しただけで、実際に派遣したのは1カ月余りたった4月17日だった。
派遣が遅れたことについて、班目委員長は、「本当に失敗だったと思い、反省している」と述べた。
(04/27 23:48)
2011/04/16 20:13 【共同通信】
安全委が専門家の現地派遣行わず 防災計画、不履行
東京電力福島第1原発事故で、原子力安全委員会(班目春樹委員長)が、原発事故に対処する国の防災基本計画で定められた「緊急技術助言組織(委員計45人)」の専門家の現地派遣をしていないことが16日明らかになった。また緊急助言組織は事故があれば「直ちに招集」されることになっているが、一部しか集められていなかった。
緊急助言組織の委員の間では「助言できるのに、呼ばれない」「招集の連絡がない」と戸惑う声があり、政府・与党内からも批判が出ている。
緊急助言組織は、原子力安全委員5人と、全国の大学教授や研究機関幹部など「緊急事態応急対策調査委員」40人で構成。防災基本計画は、事故報告を受けた場合「直ちに緊急技術助言組織を招集する」と規定。「あらかじめ指定された原子力安全委員及び緊急事態応急対策調査委員を現地へ派遣する」と定めている。
安全委は「事務局スタッフを現地に派遣して情報収集している」と説明している。
しかし防災基本計画では、専門的知識を持つ調査委員が現地で「情報の収集・分析」をするとともに国、自治体、電力会社などの「応急対策に対し必要な技術的助言等を行う」となっている。
政府当局者の一人は「専門家が現地入りしていないのは問題だ。今後の事故調査でも検証すべきだ」と語った。
助言組織の招集について安全委は「招集とは全員集めるということではない。必要な委員は招集している」としている。
調査委員の話によると、事故後、多数の委員が一堂に会する機会はなく、一部の委員が安全委に出向いたり、電話で助言をするにとどまっている。複数の委員が「招集の連絡を受けていない」と話している。
ある調査委員は「即時に対応できるよう準備していた。事故直後に安全委に問い合わせたが、招集予定はないと言われた」と明言。別の調査委員は「早い時期に招集の議論があったが、集まっていない」と語った。
2011/04/16 20:13 【共同通信】
2011.4.18 22:17
「マニュアルよりも臨機応変」現地派遣遅れはやむを得ず 原子力安全委員長
原子力安全委員会の班目春樹委員長は18日、福島第1原発事故で、国の防災基本計画で定められた原子力安全委員ら専門家の現地派遣が遅れたことについて「マニュアルを守るよりは、臨機応変にやる方がいいと判断した」とし、やむを得なかったとの見解を示した。
班目委員長は記者会見で、交通状況などから事故直後の現地入りは困難だったと説明。東京にある政府と東京電力の「統合本部」で情報収集していたとし、状況が「一定の安定」をみたことから17日に原子力安全委員ら2人を派遣したという。
また、東電が公表した原発事故収束の工程表については、高濃度の放射性物質で汚染された水がたまっている2号機での作業は、特に困難が予想されるとした。