2011/4/12 20:05
日立製作所は米ゼネラル・エレクトリック(GE)などと共同で、福島第1原子力発電所の廃炉に向けた長期計画を12日までに東京電力に提出した。溶け出した核燃料の処理から最終的な廃炉措置まで作業手順を5段階に分け、10年単位で取り組む内容。計画実行に向けて、事故処理を担う日米合同専門家チームを同日新設するなど、福島原発の支援体制を強化した。
提出した長期計画は、(1)冷温停止から核燃料の取り出し(2)プラント(原子炉)の除染(3)核廃棄物処理(4)中期的なプラントの保管(5)最終的な廃炉措置――の5段階で構成。それぞれに要する期間は明示しなかったものの、「10年単位の作業となる」(日立)。
日立は一般論と断ったうえで、冷温停止と燃料棒の取り出しに成功した場合でも、核廃棄物を処理できるレベルに放射線を低減させるのに10年、プラント内部と建屋の完全解体までには30年程度かかると説明している。
日立は同日、社長直轄組織の「福島原子力発電所プロジェクト推進本部」のほか、GE、米プラント大手ベクテル、米電力最大手エクセロンの技術者を含む「日米合同専門家チーム」をそれぞれ新設した。東芝も、廃炉に向けた計画をすでに東電に提出している。
原発1兆円計画、遅れ示唆=福島廃炉「10年で可能」—東芝社長
4月14日(木)17時36分
東芝の佐々木則夫社長は14日、報道各社のインタビューに応じ、2015年度までの原子力事業の中期計画について、目標達成が遅れる可能性を示唆した。同社は15年度までの目標として、世界で原発の新規受注39基、原子力事業の売上高1兆円を掲げている。
佐々木社長は東京電力の福島第1原発事故以降、「新設をやめると言ってきたところはない」としたものの、安全規制の変更などで「(原発の新規)着工が遅れるところはあるかもしれない」と予想。事故の影響を踏まえた今後の事業戦略を5月に公表する方針を示した。
一方で、「原子力はエネルギー確保と環境問題を解決する有力な選択肢であることに変わりはない」と指摘。安全対策を強化した上で、引き続き原子力事業に積極的に取り組む意向を強調した。
復旧作業が続く福島第1原発に関しては、「廃炉は最短10年で可能だ」との見通しを表明。当面は仏原子力大手アレバなどと連携し、放射能汚染水の排水作業を最優先する考えを明らかにした。
[時事通信社]
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011041400663
東芝“廃炉まで最低10年”
4月14日 19時40分
大手電機メーカー「東芝」は、福島第一原子力発電所の事故の収束に向けた東京電力の工程表の策定に関連して「廃炉までには早くても10年かかる」とした素案をまとめました。工程表を巡っては「日立製作所」を中心とするグループや、フランスの原子力企業「アレバ」も独自に策定を進めています。
福島第一原発の事故を巡っては、菅総理大臣が、東京電力に対して収束に向けた見通しを示す工程表の策定を指示しています。
これに関連して福島第一原発の2号機と3号機の建設に関わっている東芝の佐々木則夫社長は、アメリカの原子力関連メーカー4社と共同で、工程表の素案を東京電力と経済産業省に提出したことを記者団に明らかにしました。
東芝の素案では、工程表を短期・中期・長期の3つの期間に分けることにしており、▽短期的には、放射性物質に汚染された水の増加を避けながら原子炉と使用済み燃料プールを冷却して安定させるまで数か月かかるとしています。
次に▽中期的には、原子炉建屋の周りに特殊なクレーンを組み立てるなどして、燃料プールと圧力容器の中から安全に燃料を取り出すのにおよそ5年かかるとしています。
そして▽長期的には、外部に漏れた放射性物質を除去しながら原子炉を解体し、現地を更地にするのにさらに5年かかり、「廃炉までには早くても10年かかる」としています。
工程表を巡っては「日立製作所」を中心とするグループや、フランスの原子力企業「アレバ」も独自に策定を進めています。