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2011/03/31

IAEA、日本政府に福島県飯舘村の住民に避難を勧告するよう促す

飯舘村に避難勧告を=IAEA

 

【ベルリン時事】国際原子力機関(IAEA)のフローリー事務次長は30日、ウィーンの本部で記者会見し、事故を起こした福島第1原発の北西約40キロにあり、避難地域に指定されていない福島県飯舘村について、高い濃度の放射性物質が検出されたとして、住民に避難を勧告するよう日本政府に促した。

 同事務次長は「飯舘村の放射性物質はIAEAの避難基準を上回っている」と指摘。日本側からは調査を開始したとの連絡があったことを明らかにした。(2011/03/31-01:48)http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011033100027






放射性物質:飯舘村、避難基準超す 日本にIAEA勧告
2011年3月31日 11時8分 更新:3月31日 13時3分
 【ウィーン樋口直樹】東日本大震災に伴う福島第1原発事故で、同原発から約40キロ離れた福島県飯舘村で測定された放射線レベルが、国際原子力機関(IAEA)の避難基準を超えていたことが30日、分かった。IAEAはウィーンでの記者会見で、同原発から20キロ以内を避難指示圏に設定している日本政府に対し、状況を「注意深く」評価するよう勧告したことも明らかにした。

 IAEAのフローリー事務次長は会見で、飯舘村での放射線レベルの測定値が「IAEAの作業上の避難基準のひとつを上回った」と述べた。その上で「我々は(日本政府に)状況を注意深く評価するよう勧告し、日本は既に評価中であることを示唆している」とも述べた。日本に対し事実上、地元住民への避難指示圏の見直しを促したものとみられる。

 IAEAのこうした見解は、福島第1原発からどこまでの範囲の住民に避難指示を出すべきかを巡り、新たな議論を呼びそうだ。

 IAEAによると、今月18~26日に同原発から25~58キロ圏で土壌のヨウ素131とセシウム137の量を調べた。その結果、飯舘村は土壌1平方メートル当たり約200万ベクレルだった。IAEAの避難基準の約2倍に相当するという。ヨウ素131かセシウム137かは明確にしていない。同村の測定値は1カ所のみで測られた散発的なデータで、あくまで初期的な評価だという。

 飯舘村は、避難指示圏の外側に設けられた屋内退避指示圏(福島第1原発から20~30キロ)のさらに外側にある。福島第1原発から遠く離れた場所で放射線レベルが突出していることについて、日本の文部科学省は「地形や風向きの影響と考えられる」としていた。

 一方、天野之弥事務局長は30日の会見で、原発の安全対策などに関する初めての高官級会議を6月20~24日にウィーンで開催すると発表した。IAEA加盟国の首相や外相などに招待状を送るという。






IAEA 飯舘村の住民避難の検討を勧告2011年3月31日 8:30
 IAEA(=国際原子力機関)は30日、福島・飯舘村から住民を避難させる検討をするよう、日本政府に勧告したことを明らかにした。

 IAEAは会見で、飯舘村の土壌サンプルから「IAEAが住民を避難させる基準値」の2倍にあたる高い放射性物質が検出されたと発表。経産省の原子力安全・保安院に対し、30日、住民への避難指示を検討するよう求めたことを明らかにした。飯舘村は福島第一原子力発電所から約40キロに位置し、ごく一部が「屋内退避」指示の半径30キロ圏内だが、村の大半には何の指示も出ていない。

 原子力安全・保安院はIAEAに対し、「見直し作業は常に行っている」と回答しているということで、日本政府の今後の対応が注目される。




飯舘村でIAEA基準超える放射性物質、避難区域の拡大圧力も2011年 03月 31日 09:06 JST
 [ウィーン 30日 ロイター] 国際原子力機関(IAEA)は30日、事故を起こした福島第1原子力発電所から40キロの村で、避難基準を超える放射性物質が観測されたことを明らかにした。
 この調査結果により、福島第1原発の20キロ圏内を超える範囲に立入禁止区域を広げるよう日本政府に求める圧力が強まる可能性がある。

 IAEAのフローリー事務次長は、記者会見で「最初の評価は、(福島県)飯舘村でIAEAの避難基準を超えたことを示している」と語った。

 また「われわれは注意深い状況判断を行うよう(日本に)勧告し、日本はすでに評価中であることを示唆している」と述べた。

 国際環境保護団体グリーンピースは今週、福島第1原発の北西約40キロにある飯舘村の放射線レベルが避難に値するほど高いことを確認したと明らかにしていたが、日本の原子力安全当局は28日、同団体の避難区域拡大要請をはねつけた。

 IAEAはまた、日本から輸入したキャベツに国際貿易推奨基準を超える放射性ヨウ素が含まれていたとの報告をシンガポールから受けたことを明らかにした。

 IAEAに出向している国連食品当局のデビッド・バイロン氏は、推奨基準は1キロ当たり100ベクレルだが、シンガポールのサンプルの1つからは基準の最大9倍のヨウ素が見つかったとし、「他のサンプルも(これほどではないが)基準を超えている」と述べた。 

 IAEAの天野之弥事務局長は、事態収拾に向けた当局の取り組み強化にもかかわらず福島原発の状況は依然として深刻との認識を示した。

 その上で、日本当局はさらなる困難に直面しているが、いくつかの成果もあったとし、6月20―24日にウィーンで開催する原発の安全性強化を目指す閣僚級会合にIAEA加盟151カ国を招いたことを明らかにした。

 同事務局長は「前向きな会合になるだろう」と語った。

 フローリー事務次長は、原発の状況が悪化する可能性について、「再臨界」の可能性があるとの見方が出ており、そうなれば放射線漏れが拡大する恐れがあるが、「致命的な事態」にはならないだろうとし、「再臨界は原子炉が爆発することを意味しているのではない」と語った。