2011/3/31 13:16
【南京(江蘇省)=戸田敬久】20カ国・地域(G20)の金融担当相や中央銀行総裁らによる国際通貨体制に関するセミナーが31日、中国・南京で開幕した。G20議長国であるフランスのサルコジ大統領は開幕式の席上で、「通貨安競争の危機に対して各国の協調が必要だ」と発言。中国の王岐山副首相(金融担当)は「中国も科学的な国際通貨体制の建設に共同参加する」と述べた。
セミナーはサルコジ大統領の提唱で開催された。開幕式では大統領と王副首相がそれぞれ日本の東日本大震災の被災者に哀悼の意を表明。サルコジ氏は放射性物質の処理などで「日本を援助する用意がある」と述べた。王副首相は震災により「世界経済の不確実性が増した」と指摘した。
サルコジ大統領は各国の政策協調の事例として震災発生後に日米欧などが実施した円売り協調介入を挙げた。また「ドルとユーロ以外にも人民元などが国際通貨になるべきだ」とも述べた。
セミナーは「現状の通貨体制とその弱点」「世界の資金移動管理」「国際通貨基金(IMF)の役割」――などをテーマに議論。中国など新興経済成長国が台頭する中、国際通貨体制の在り方について検討する。議論内容は、今後のG20首脳会議などのたたき台にする考え。
セミナーに出席したガイトナー米財務長官は王副首相や中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁らと会談する予定。
G20セミナー:人民元の役割拡大を求める声、元上昇の誘い水か
4月1日(ブルームバーグ):3月31日に中国・南京で開かれた20カ国・地域(G20)セミナーでは、人民元の国際的な役割拡大を呼び掛ける提言が相次いだ。その裏には、米国が「大幅に過小評価されている」と指摘する元相場の上昇加速を、中国政府に促す狙いがあるとストラテジストは指摘する。
フランスのサルコジ大統領とラガルド財務相は、人民元を国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)に組み入れるための作業を開始すべきだと発言。トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁はこの提案について、「議論する価値がある」と指摘した。
サルコジ大統領は、世界経済の不均衡是正と金融危機再来のリスク削減に向け国際金融システムをいかに変革するかが議論された同セミナーの冒頭で講演した。一方ガイトナー米財務長官は、IMFのSDRへの組み入れには「柔軟な為替制度」と自由な資本フローが必要条件となるが、中国はまだそれを満たしていないと指摘した。
UBSの通貨ストラテジスト、ジェフリー・ユー氏は「SDRの議論は元の柔軟性を拡大させることが狙いだ」と分析した上で、「しかし中国はそれを望んでいない」と指摘。「権限には責任がつきものだが、中国はその責任を欲していない。自国の必要に応じた緩やかな上昇を希望しており、米国や世界の圧力に屈する考えはない」と説明した。
更新日時: 2011/04/01 11:15 JST
米長官ら、人民元改革を要求 G20セミナー
2011年3月31日 17時30分
【南京共同】中国・南京で31日開かれた20カ国・地域(G20)の閣僚らによる国際金融セミナーで、G20議長国フランスのサルコジ大統領やガイトナー米財務長官は、国際通貨システムの安定には人民元相場の柔軟化に向けた改革が重要との考えを強調した。
セミナーは非公開で行われたが、AP通信などによると、ガイトナー長官は「主要通貨のほか、多くの新興国通貨も柔軟な為替制度を導入している」と指摘。為替相場を管理した一部の国との違いが「(国際的な)緊張を生んでいる」として、間接的ながらも人民元の改革を要求した。
サルコジ大統領は人民元を念頭に、経済規模の拡大に伴い「新興国通貨の国際化は避けられない」と強調。中国政府に改革努力を促し、国際通貨基金(IMF)の準備資産である「特別引き出し権(SDR)」に人民元を組み入れる準備を急ぐべきだとの考えを示した。
サルコジ大統領は東日本大震災後の日本の復興支援で各国に協調を促し、原発事故でも「できる範囲でいかなる支援も提供する」と述べた。