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2011/03/30

枝野官房長官=5,6号機も廃炉へ 「客観的状況は明らかだ。社会的な見方ははっきりしている」

官房長官 5・6号機も廃炉に
3月30日 19時9分



枝野官房長官は記者会見で、東京電力の勝俣会長が福島第一原発の1号機から4号機は廃炉にせざるをえないという考えを示したことについて、「判断以前の問題だ」と述べたうえで、5号機と6号機も廃炉にすべきだという認識を示しました。

この中で枝野官房長官は、東京電力の勝俣会長が福島第一原子力発電所の1号機から4号機については廃炉にせざるをえないという考えを示したことについて、「客観的な状況ははっきりしており、判断以前の問題だ」と述べました。

そのうえで、枝野長官は、5号機と6号機についても、「政府の判断以前に、全体の客観的な状況や社会的な見方は、かなりはっきりしている」と述べ、同様に廃炉にすべきだという認識を示しました。

また、枝野長官は、政府と東京電力による統合対策本部の副本部長を務める、東京電力の清水社長が入院したことについて、「東京電力の態勢いかんにかかわらず、組織体として、しっかりと責任を果たしてもらうことが重要だ」と述べました。

さらに、枝野長官は、東京電力が電力事業を継続していくための、国からの公的資金の支援について、「首都圏に対して今後も安定して電力供給しなければならないのは間違いなく、今回の事故の補償もしっかりとやらなければいけないのは当然の前提だ。今は、東京電力も、政府も、まずは事故の収束に全力を尽くすことに尽きる」と述べました。





5、6号機も廃炉に=枝野官房長官
 枝野幸男官房長官は30日午後の記者会見で、福島第1原発5、6号機の存続の是非について「客観的状況は明らかだ。社会的な見方ははっきりしている」と述べ、1~4号機に加えて5、6号機も廃炉にすべきだとの見解を示した。

 深刻な放射能漏れが続く1~4号機に比べ、5、6号機は冷温停止状態となり安定している。東京電力の勝俣恒久会長は同日、1~4号機の廃炉を明言、5、6号機と第2原発については国などの意向を聞く姿勢を示している。

 東京電力の対応について、枝野長官は「組織体としてしっかりした責任を果たすことが重要だ」と強調。第1原発の放射能遮蔽(しゃへい)のため、コンクリートで固める「石棺」については「否定された選択肢には入っていない」と語った。

 避難指示が出ている第1原発から20キロ圏内での放射線量調査について、「(住民の)一時帰宅が可能であるか判断するための材料を集める」として、調査を始めたことを明らかにした。自宅に残した貴重品などを取りに一時帰宅を希望する住民が多いことを踏まえた措置で、調査結果を参考に一時帰宅を許可するかどうか判断する。(2011/03/30-20:23)

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011033000825





東電存続の危機、福島第1原発すべて廃炉に
 東京電力の勝俣恒久会長(71)は30日、本店で記者会見し、東日本大震災で事故が起きた福島第1原発について「1~4号機の状況を客観的に見ると、廃止せざるをえない」と述べ、廃炉にする方針を明らかにした。東電首脳が福島原発の廃炉を表明したのは初めて。また、枝野幸男官房長官は同日の会見で、残る5、6号機についても廃炉になるとの認識を表明した。

  ◇  ◇

 東日本大震災以後、地元周辺のみならず、日本中をおびえさせている福島第1原発が廃炉の見通しとなった。東電の勝俣会長が4機に言及したのに加え、枝野氏が残る2機についても見通しを明かした。

 東電は依然として危険な状態にある1~4号機の運転再開断念を表明することで、事故対応を最優先する姿勢を強調。勝俣会長は1~4号機について、1986年の爆発事故後のチェルノブイリ原発と同様に、原子炉をコンクリートと鉄板で覆った「石棺」のようにする方法も「一つの方策」と述べた。

 既に安定的な冷温停止状態になっている5、6号機や福島第2原発については「基本機能は維持している」と説明。今後の復旧については「国や地元の意見を聞いて考える」と話したものの、第1原発の2機は枝野氏が「政府が判断する以前に、全体の状況からはっきりしている」と廃炉となる認識を示した。

 勝俣会長が1~4号機の廃炉方針を明らかにしたのは、原発事故や対応の遅れで東電に対する批判が高まっており、廃炉表明を急がざるを得ないと判断したからとみられる。

 1~4号機が大きなダメージを受けたことが分かった時点で、廃炉は避けられないとの見方が電力関係者の間で広がっていた。廃炉が事実上、決定したのは12日夜。海水を直接注入した時点だった。塩分による腐食や汚れが発生するため運転再開は見込めず、この時点で決まっていた。

 勝俣会長がようやく方針を明らかにしたことで、多額の廃炉費用が発生することが確定。廃炉や原発事故による賠償の費用などは、総額で数兆円規模になる可能性もあり、東電が自力で資金をまかないきれない可能性が高い。

 経営陣の責任問題も残されており、東電は会社存亡の危機に直面。今後、第1原発一帯が完全封鎖されて「死の街」となる恐れもある。

(2011年3月31日)