東日本大震災で危機的状況が続く福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で、東京電力は28日、1~3号機の各タービン建屋地下から海岸方向に延びる地下トンネルと地上に通じる両端の立て坑に水がたまり、2号機では水面で毎時1000ミリシーベルト以上の強い放射線を測定したと発表した。測定は27日午後。水が周辺に漏れている可能性や排水作業による冷却装置復旧の遅れが懸念される。
2号機のタービン建屋地下1階の水たまりでは26日に同レベルの強い放射線が測定され、原子炉から弁や配管を通じて漏れたとみられる高濃度の放射性物質が含まれている。地下トンネルとの間には壁があるが、配管が通る部分の隙間などからこの水が流出した可能性がある。
東京電力によると、1号機タービン建屋の地下トンネルにたまった水の表面からは毎時0.4ミリシーベルトの放射線を検出。3号機は、がれきが障害となり測定できなかった。トンネルや立て坑は放射線管理区域外で、放射性物質が検出されてはならない場所だ。トンネルはいずれも高さ、幅3メートル前後で、海水ポンプからの配管や電線が入っている。
このうち2号機の場合は、海側にある立て坑までの長さが約76メートル。立て坑の深さは16.3メートルで、地上から深さ約1メートルのところまで水が入っていた。立て坑とトンネルを合わせた容量は約6000立方メートル。
海側の立て坑から海岸まで約55メートルあるため、東電は水が直ちに海に流出することはないとみている。しかし、コンクリート製のトンネルが損傷して水が周囲の土壌に染み出していることも考えられ、東電は流出の可能性と併せ調査している。
1~4号機の放水口近くで採取された海水からは、25日から26日にかけて高濃度の放射性ヨウ素が検出されており、流出が疑われている。
2号機の立て坑付近の空気中で測定された放射線量は最大で毎時300ミリシーベルト台だった。1号機の立て坑は深さ約10センチまで水が上がっており、東電は28日に漏出防止のために土のうを積んだ。
http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_soc_jishin-higashinihon20110328j-03-w600
福島第一原発 2号機 放射線1000ミリシーベルト超
2011年3月28日 朝刊
東日本大震災で被災した福島第一原発の事故で、東京電力は二十七日、2号機タービン建屋地下のたまり水の表面から、毎時一〇〇〇ミリシーベルト超の極めて高い放射線量を測定した、と発表した。三十分浴びるだけで体内のリンパ球が減少し、三時間以上で50%が死亡するとされる量で、事故後に測定した線量の中では最大。線量計が振り切れて測定を中断したため、さらに高い線量になる見込みだ。
経済産業省原子力安全・保安院は原子炉から漏れ出た可能性が高いとしており、場所の特定を急いでいる。深刻な原発危機を脱却する復旧作業は一段と難しさを増してきた。
高濃度の放射性物質を含むたまり水は作業員三人が被ばくした3号機や、1号機のタービン建屋でも見つかっている。
2号機のたまり水について、東電は昼ごろ放射性物質のヨウ素134が運転中の原子炉の水と比べ一千万倍の濃度だったと発表。ところが、二十八日未明の会見で検出したのはヨウ素ではなく、セシウム134で、十万倍の濃度に訂正した。
2号機は十四日、原子炉内の水位が低下して高温の核燃料がすべて露出する「空だき」状態になり、核燃料の破損が指摘されていた。
東電も「燃料の数%から数十%が破損していると解釈できる」と認めている。
2号機は十五日、原子炉格納容器内につながる圧力抑制室で爆発音があり、損傷した疑いも出ている。専門家は破損した燃料から高濃度の放射性物質が漏れ、抑制室の亀裂などを通って格納容器の外に出た可能性を指摘している。
東電は「原子炉周りの圧力や水位などから、炉内の放射性物質が大量に格納容器の外に出ている状況はない」と話している。
一方、第一原発の放水口近くの海水から濃度限度の約千二百五十倍の放射性ヨウ素131が検出された問題で、保安院は、同約千八百五十倍の放射性ヨウ素131を二十六日にも検出したと発表。海で拡散されるため「健康への影響はない」としている。