東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡り、米政府が原子炉冷却に関する技術的な支援を申し入れたのに対し、日本政府が断っていたことを民主党幹部が17日明らかにした。
この幹部によると、米政府の支援の打診は、11日に東日本巨大地震が発生し、福島第一原発の被害が判明した直後に行われた。米側の支援申し入れは、原子炉の廃炉を前提にしたものだったため、日本政府や東京電力は冷却機能の回復は可能で、「米側の提案は時期尚早」などとして、提案を受け入れなかったとみられる。
政府・与党内では、この段階で菅首相が米側の提案採用に踏み切っていれば、原発で爆発が発生し、高濃度の放射性物質が周辺に漏れるといった、現在の深刻な事態を回避できたとの指摘も出ている。
福島第一原発の事故については、クリントン米国務長官が11日(米国時間)にホワイトハウスで開かれた会合で「日本の技術水準は高いが、冷却材が不足している。在日米空軍を使って冷却材を空輸した」と発言し、その後、国務省が否定した経緯がある。
(2011年3月18日08時12分 読売新聞)
12日の時事
冷却材、搬送せず=米
【ワシントン時事】米国務省当局者は11日、日本の大地震を受けて在日米軍の空軍機が被災地の原発に冷却材を輸送したとの発表について、「結局は日本政府が対応した」と述べ、実際には搬送が行われなかったことを明らかにした。
クリントン国務長官はこれに先立ち、米空軍が被災地にある原発に冷却材を搬送したとコメントしていた。日本への支援策の調整状況が同長官に報告された際に、混乱があったとみられる。(2011/03/12-09:02)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201103/2011031200285
同じく12日ロイター
在日米軍、地震被害の原発への冷却剤輸送は実施せず=米政府高官
2011年 03月 12日 12:56 JST
[ワシントン 11日 ロイター] 米政府高官は11日、東北地方太平洋沖地震で被害を受けた原子力発電所への在日米軍による冷却剤輸送は実施しなかったことを明らかにした。これより先、ヒラリー・クリントン米国務長官は、同原発に冷却剤を輸送したと述べていた。
これについて同高官は、冷却材の供給について日本側から要請があり、米軍も同意し輸送を開始すると国務長官は聞かされていたもようだと説明した。その後、日本側から冷却材は不要との連絡があったものの、国務長官の耳に入っていなかったとしている。
別の米政府当局者は、「結局、日本は自国で状況に対応できたとわれわれは理解している」と述べた。