2011/03/25(金) 18:42
在日フランス大使館は2011年3月25日、先に【フランス政府、世界最大の輸送機An-225で震災支援物資・原発対策用技術支援を実施】でお伝えした、「大規模な支援物資、原発事故対策に有益な支援物資・機材」を搭載した世界最大の輸送機アントノフAn-225が同日の朝、成田空港に到着、搭載していた荷物の搬出作業を開始したと発表した。
人道支援物資についてはフランス大使館とフランス市民安全部隊分遣隊の支援のもと、宮城県仙台市に自らの手で輸送されることになる(【発表リリース】)。
フランスは今回の東日本大地震(東北地方太平洋沖地震)を受け、他国同様官民を問わず大規模な支援を打ち出している。今回到着したのは人道支援物資がフランス外務・ヨーロッパ問題省の危機対策センターより提供されたもので、毛布7000枚やミネラルウォーター10万本など。
そして対原発事故向けとしての技術支援がINTRA(原子力事故ロボット工学的介入経済利益団体)から提供されたもので、「放射線防護および放射線量計測装備30トン」「大気モニタリング用トレーラー1台および環境放射線測定用トラック3台」「排水ポンプ10台、可動空気圧縮機5台、自家発電機5台」と発表されている。
そしてこれらの大量の支援物資(総量150トン)を一度に運ぶため、非量産稼働機としては世界最大かつ世界唯一の輸送機「アントノフAn-225」がチャーターされた。
そして同機は現地時間の3月22日にフランスのシャトールー空港を出発、本日3月25日の朝に成田空港に着陸し、荷物の搬出作業を開始している。
大使館側の発表によれば、到着した資材のうち人道支援物資については、冒頭でも触れたように日本当局側の負担軽減のため、フランスはフランス大使館・フランス市民安全部隊分遣隊の支援を受け、地震で最も深刻な被害を受けた宮城県仙台市へ自ら輸送する。この分遣隊116人は、地震発生48時間後にはすでに現地入りしており、今日に至るまで日本で活動を続けているヨーロッパで唯一の救援隊とのこと。
またこれに合わせ、フィリップ・フォール駐日フランス大使は3月26日、被災者との連帯を示すと同時に、支援物資の到着を自らの目で確かめるために仙台市を訪れる予定。同大使は在京のフランス大使館と常に連絡を取っていた現地在留のフランス人約10人とも面会を予定している。
その他にもフランスの外交機関を現地で代表し、震災当初から現地在留フランス人の保護および援助で大きな役割を果たしている在仙台フランス名誉領事の飯岡智氏、アリアンス・フランセーズ仙台のダミアン・ロジェ=コカール院長にも会い、敬意を表する予定。
一方、気になるのはINTRAから送られた原発事故対策用の各器材だが、こちらについては言及は今のところない。また、日本の原子力安全・保安院、東京電力、経済産業省、内閣府など関連各官公庁や関連企業からの情報としては、今件資材に関する言及は到着はおろかフランス政府からの提供の話も合わせ、現在にいたるまで一切確認が出来ない(公知されているか否かの問題として)。
フランス政府及び関連機関からはすでに公開情報として開示されていること、派遣された機材やスタッフの内容・経験などを見る限り、現在なお状況が続いている原発事故の事態打開策として極めて有益なものと判断されるにも関わらず、何らかの情報開示も日本側からなされていないことは、情報公開の点でその態度を疑問視されるだけでなく、支援提供側のフランスにも失礼に当たるのではないだろうか。
ともあれ一刻も早い原発事故現場への展開と、豊富な経験を活かした有力な機材・スタッフの活躍、そして事態の鎮静化に期待したいところだ。(情報提供:Garbagenews.com)