厚生労働省は20日、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け実施された食品のサンプル調査で、茨城、栃木、群馬各県の一部地域産のホウレンソウと、福島県4市町村産の牛乳から、食品衛生法の暫定規制値を超える放射性ヨウ素や同セシウムが検出されたことを明らかにした。
事故の影響とみられ、政府は21日中にも、独自に出荷を規制するエリアを設定するかどうか結論を出す方針。いずれの該当農産品もただちに健康に影響する数値ではないとしている。
厚労省によると、食品衛生法に基づいて各県が行った調査で、茨城県では、北茨城、高萩、日立、常陸大宮、那珂、鉾田、守谷、古河8市の農家が生産し18~19日に採取したホウレンソウから、最大で規制値の約27倍にあたる5万4100?の放射性ヨウ素や、約4倍に当たる1931?の放射性セシウムを検出した。茨城県は19日、県内産のホウレンソウ全体の出荷自粛を要請している。
栃木県では、宇都宮市、下野市、壬生町、上三川町のホウレンソウから規制値の最大約2・8倍の放射性ヨウ素や、1・6倍の同セシウムが検出され、同県は農業団体に出荷品の自主回収と今後の出荷自粛を要請した。群馬県でも、伊勢崎市で規制値をやや上回る放射性ヨウ素がホウレンソウから検出された。また、東京・築地市場で、千葉県旭市産の春菊から規制値の2倍以上の放射性ヨウ素が都の調査で検出されたため、千葉県は20日、出荷元に回収を指示した。
一方、福島県では、いわき市、国見町、新地町、飯舘村の酪農家が19日に生産した加工前の牛乳から、最大で規制値の約17倍に当たる5200?の放射性ヨウ素が検出されたほか、飯舘村では規制値の200?を超える420?の同セシウムも検出された。
食品衛生法では、規制値を上回った農産品を出した農家については出荷停止を都道府県判断で出来る。ただ影響が地域的に広がっている可能性もあり、政府は原子力災害対策特別措置法に基づき、該当農家に限定しない規制エリアや品目を設けるかどうか検討する。
(2011年3月21日00時23分 読売新聞)
千葉県旭市のシュンギクからヨウ素 規制値の2.15倍
2011年3月20日22時24分
東京都は20日、築地市場経由で都内に流通した千葉県旭市産のシュンギクから、国が定めた暫定規制値(1キロあたり2000ベクレル)の2.15倍にあたる4300ベクレルの放射性ヨウ素を検出したと発表した。都は食品衛生法に基づき、この検体と同時に築地市場に入荷された旭市産シュンギク90キロを販売禁止とし、千葉県などに旭市産の青果物の出荷自粛を求める。