3月17日 12時38分
冷却機能が失われ深刻な状態が続いている福島第一原子力発電所で、自衛隊のヘリコプターを使って上空から3号機の使用済み燃料プールに水を入れる作業が行われました。東京電力によりますと、原発の敷地内で計測された放射線の量は、投下の前とあととで、今のところ大きな変化はないということです。
福島第一原子力発電所の3号機と4号機では、使用済み燃料を保管しているプールが冷却できない状態になり、温度が上がって水が蒸発しているとみられています。この状態が続けば、燃料が溶けて放射性物質が外部に漏れ出すおそれがあるとして、政府の対策本部では、自衛隊と警察庁に要請し、空や地上からプールに水を入れる作業を行うことにしました。
このうち、自衛隊のヘリコプターを使って上空から3号機の使用済み燃料プールに水を入れる作業が、17日午前9時48分から午前10時1分までの間に4回行われました。
これについて、東京電力福島事務所が記者会見し、3号機から百数十メートル離れた事務本館で放射線の量を計測したところ、投下の前の午前9時40分に1時間当たり3782マイクロシーベルトだった数値が、投下が終了したあとの午前10時20分でも、1時間当たり3754マイクロシーベルトと、今のところ大きな変化がないことを明らかにしました。
「手順正しいが効果は不明」
宮崎慶次大阪大名誉教授(原子力工学)の話 ヘリコプターでの水投下の映像を見たが、的確なポイントに散布できたかどうか。あの程度の回数ではどのくらい効果があるか分からない。
ただ、手順は間違っていない。
3、4号機では、使用済み燃料プール内にある貯蔵燃料の少なくとも一部が水面に露出し1200度以上の高温になっているはず。頭からいきなり放水すると、火鉢の炭に水をぶっかけるようなもので、大量の放射性物質が水蒸気とともに拡散したり、燃料を覆う被覆管の温度が急激に下がって金属が崩れたり飛び散ったりする恐れがある。
スプレーのように水を噴霧して表面温度を少し下げ、その後、地上からホースで静かに水位を上げるような注水ができればベストだろう。ただ根本的な解決のためには、電源の復旧を急ぐべきだ。(共同)
[2011年3月17日12時10分]