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2011/03/15

福島第一原子力発電所2号機、再び水位が低下 燃料棒がすべて露出した状態に

2号機 再び核燃料すべて露出
3月15日 1時5分
東京電力は、福島第一原子力発電所2号機で、14日午後11時ごろ、原子炉を冷やすための水が注入できなくなり、原子炉の水位が急激に下がって再び燃料棒がすべて露出した状態になったとみられると発表しました。また、敷地周辺の放射線の量が、午後9時37分に基準の6倍と、これまでで最も高くなり、緊急事態を知らせる通報を国に行いました。

東京電力によりますと、福島第一原子力発電所2号機で、14日午後11時ごろ、原子炉の中の気体を逃がして圧力を下げるための弁が閉まり、炉の中の圧力が高まったため、原子炉を冷やすための水が送れなくなりました。

このため、原子炉の水位が急激に下がり、再び燃料棒がすべて露出した状態となったとみられるということです。2号機では、14日もポンプが停止して原子炉に海水が入らなくなり、午後6時半から2時間20分の間、燃料棒がすべて露出しましたが、その後、ポンプを動かした結果、午後9時半すぎに燃料棒の半分が水につかった状態に戻っていました。

東京電力では、原子炉の中の気体を逃がす弁は、あわせて10個ほどあり、ほかの弁を開けて圧力を下げる対策などを進め、原子炉に海水を注入して水位を回復したいとしています。

また、2号機では敷地周辺の放射線の量が、午後9時37分に基準の6倍のこれまでで最も高い3130マイクロシーベルトとなり、国に対して緊急事態を知らせるいわゆる「15条通報」を行いました。





福島第一原発2号機、炉心が再び全露出
 東京電力福島第一原子力発電所2号機で14日午後6時過ぎ、原子炉内の冷却水が、ほぼ完全に失われ、燃料棒がすべて露出して冷却できない状態になった。


 東電が同日発表した。水位はいったん回復したが、再び低下し、同日午後11時ごろ、燃料棒が全部露出した。空だき状態が続くと燃料棒が溶けだす炉心溶融の懸念がある。同日夜に記者会見した枝野官房長官は、1~3号機どれでも燃料棒の溶融が起きている「可能性は高い」との見方を示した。

 同日午後9時37分、同原発の正門での放射線量は毎時3130マイクロ・シーベルトと、地震後に公表された値では最高を示した。

 東電によると、2号機はこれまで原子炉の圧力や温度などは比較的安定していたが、同日午後1時38分、冷却水の循環ポンプが止まり、炉内の圧力が上昇、水位が低下し始めた。同5時17分に約3・7メートルの燃料棒上端から露出が始まり、同6時22分に全体が露出した。

 東電は冷却水の循環停止後、別のポンプで海水を原子炉に直接入れる準備を進め、同6時24分、注入を開始した。しかし、炉内の圧力が高かった上に、作業員が1、3号機のポンプの見回りで目を離した間に、海水注入ポンプは燃料が切れて停止。燃料を補給して注入を再開したが、約3時間、完全に燃料が露出した状態が続いた。

 その後、水位は回復したが、同日午後11時ごろ、原子炉の冷却水が再びなくなり、燃料棒が完全に露出した状態になった。原子炉から格納容器に蒸気を逃がす二つの弁が完全に閉まり、原子炉内の蒸気圧力が上昇し、海水の注入ができなくなった。

 東電は、15日午前0時2分から格納容器内の蒸気を外部に放出する新たな弁を開けた。この弁から外部に放出する蒸気には、原子炉内から直接出た蒸気が含まれており、これまでに放出された蒸気より放射能が高い。

 冷却水が消失し、燃料棒の露出が続くと、高温の燃料が冷やされず、炉内の温度が2000度超まで上昇して、燃料が溶けだす恐れがある。

 建屋が吹き飛んだ1、3号機の水素爆発より深刻な事態で、炉心溶融によって大量の放射性物質が大気中に漏れる可能性もある。冷却水喪失(LOCA)によって炉心溶融を起こした事故は、1979年の米スリーマイル島原発事故などがある。

          







 東電は15日未明、14日午後9時ごろ、福島第一原発の正門で中性子線を検出したと発表した。放射線量は不明だが、14日午前に水素爆発を起こした同原発3号機の燃料から出た可能性があるとしている。

(2011年3月15日01時34分 読売新聞)