3月25日 12時7分
福島第一原子力発電所の3号機の建物から高い濃度の放射性物質が検出されたことについて、経済産業省の原子力安全・保安院は、「3号機では原子炉のどこかが損傷している可能性が十分にある」と述べて、『放射性物質を閉じ込める機能』が低下し、原子炉から放射性物質が外に漏れ出しているという見方を示しました。
原子力安全・保安院は、25日午前10時半ごろから記者会見し、24日、作業員3人が被ばくした3号機のタービンがある建物で、運転中の原子炉の水のおよそ1万倍の濃度の放射性物質が検出されたことについて、原子力安全・保安院は、「3号機では一定の閉じ込め機能はあるようだが、原子炉のどこかが損傷している可能性が十分にある」と述べて、『放射性物質を閉じ込める機能』が低下し、原子炉から放射性物質が外に漏れ出しているという見方を示しました。
一方、東京電力福島事務所によりますと、福島第一原発の1号機では、原子炉の表面で計った温度が、一時、設計段階で想定されていた最高温度の302度を超えておよそ400度に達していましたが、25日午前6時現在では204.5度まで下がったほか、原子炉が入っている格納容器の圧力も、24日午前5時現在でおよそ3.85気圧だったのが、25日午前6時現在でおよそ3.10気圧になっています。東京電力は、25日朝から外部電源を復旧させる作業を再開していて、1号機から4号機を中心に、本格的に電気を流す前にポンプなどの機械や装置が故障していないかを確認する作業を進めています。
このうち、2号機では、25日中に中央制御室の照明が点灯する見通しです。また、3号機では、原子炉にポンプを使って真水を入れる作業を行うほか、川崎市の消防の協力を得て使用済み燃料プールに水を放水する予定です。さらに、4号機では「残留熱除去系」と呼ばれる水を循環して熱を取り除く装置を動かし、使用済み燃料プールの冷却を始めたいとしています。
3号機も放射性物質が大量漏出の恐れ 「原子炉損傷の可能性も」保安院
2011.3.25 12:36
東京電力は25日、東日本大震災で深刻な被害を受けた福島第1原子力発電所で被(ひ)曝(ばく)した作業員2人が病院に搬送された事故で、作業区域にたまっていた水の放射性物質(放射能)濃度が通常の炉心の水の約1万倍だったと発表した。壊れた燃料棒の放射性物質が炉心の水にとけ込み、漏れだしているとみられる。格納容器が壊れた恐れがある2号機に加え、3号機の原子炉からも何らかのかたちで大量の放射性物質が漏れ出している恐れが出ている。
水は3号機の発電機があるタービン建屋の地下1階にたまっていた。東電の調査によると、セシウム、ヨウ素、コバルトなどの放射性物質が1立方センチメートルあたり390万ベクレル含まれていた。
これらの放射性物質は通常は燃料棒の中に閉じこめられて炉内の水に溶け込むことはない。今回は溶け込んでいたことから、高温になった燃料棒から炉心の水に放射性物質が溶け出し、その水が何らかの理由でタービン建屋内に出てきたとみられる。
同原発ではこれまで、原子炉の外枠にあたる格納容器が破損したと疑われる2号機で、原子炉内の放射性物質が大量に漏れ出している可能性が指摘されてきた。今回、3号機の建屋内で放射性物質を多く含んだ水が見つかったことで、3号機でも高濃度の放射性物質を閉じこめられずにいる公算が大きくなった。
経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は25日午前の会見で、「放射性物質は使用済み核燃料プールから出た可能性もある。3号機の原子炉の数値をみると原子炉による閉じこめはある程度機能していると思っているが、よく検証せねばならない。毀損している可能性も十分にある」と述べた。
病院に運ばれた2人は長靴を履かずに水の中に足を入れ、放射性物質が足に付着した。東電は「前日の作業では水はなかったため、長靴を履かずに現場に入った」と説明している。また現場周辺の放射線量は1時間あたり200ミリシーベルトという高い値だったが、前日は数ミリシーベルト程度だった。このため放射性物質の漏出が現在も拡大している可能性もある。
3号機では原子炉に水を送り込むポンプの修理をすすめる予定だったが、作業は現在も中断している。