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2011/03/14

福島第一原発2号機、燃料棒が一時水面から完全に露出する「空だき状態」に

福島第一2号機、燃料棒が露出…漏出の恐れ
 東京電力は14日午後7時45分ころ、福島第一原子力発電所2号機で、原子炉内の冷却水が、ほぼ完全に失われ、燃料棒がすべて露出して冷却できない状態になり、地元福島県に緊急事態として通報したと発表した。

 水位は回復しつつあるが、空だき状態が続くと燃料棒が溶けだす炉心溶融の懸念がある。隣接する3号機では、この日午前11時過ぎ水素爆発が起こり、建屋の上部が吹き飛んだ。東電社員、陸上自衛隊員ら11人が負傷し、6人が被曝(ひばく)、1人が入院した。

 東電の発表によると、2号機は、これまで安定していた炉内の圧力が急激に上昇し、同日午後1時38分、冷却水を循環させるポンプが止まった。作業員が、1、3号機用のポンプを見回った後で、2号機のポンプの燃料がなくなり、停止しているのに気づいた。その後、水位が下がり始め、午後5時17分には燃料棒の露出が始まった。

 東電では海水の注入作業を開始したが、水位の低下は止まらず、午後6時22分、燃料全体が完全に露出したという。午後9時20分ごろ、原子炉の弁を開き、水蒸気を格納容器内に逃がすなど対応した結果、午後9時42分には水位が上昇したが、依然、燃料棒が2メートルも露出する危機が続いている。

 冷却水が消失し、燃料棒の露出が続くと、高温の燃料が冷やされず、炉内の温度が2000度超まで上昇、燃料が溶けだす恐れがある。建屋が吹き飛んだ1、3号機の水素爆発より深刻な事態で、炉心溶融によって大量の放射性物質が大気中に漏れる可能性もある。冷却材喪失(LOCA)によって炉心溶融を起こした事故は、1979年の米スリーマイル島原発事故などがある。

 経済産業省原子力安全・保安院の幹部は同日夜、「核燃料の損傷はない」と語った。

 一方、3号機の爆発後、原子炉と格納容器は機能しているが、1号機同様に、炉心溶融の初期段階である燃料損傷が広がっている可能性は高い。

 保安院は、半径20キロ圏内にとどまっていた約600人に緊急措置として屋内待機を指示した。同日午後、圏外への避難が始まった。被曝者の有無は不明。

(2011年3月14日23時08分 読売新聞)






東日本大震災:2号機一時空だき状態 燃料棒破損の恐れも
2011年3月14日 20時9分 更新:3月14日 22時29分
 東京電力は14日、東日本大震災で被災した福島第1原発2号機で原子炉の水位が急速に低下し、長さが約4メートルある燃料棒が一時水面から完全に露出する「空だき状態」になったと発表した。その後、燃料棒は半分まで水中に入ったが、破損した可能性がある。経済産業省原子力安全・保安院によると、冷却機能が喪失した上、注水に使う消防車5台のポンプが同日午前に3号機で発生した水素爆発などで故障、2台しか稼働していないことが響いた恐れがある。

 東電によると、水位が測定不能となった空だき状態になったのは午後6時22分。午後8時ごろに注水が始まった。燃料棒が長時間、完全に露出すると、燃料が損傷し炉内で固まって再臨界し圧力容器を破損。放射性物質が外部に漏れる。

 保安院によると、同日午後1時25分、同発電所2号機で原子炉内の圧力を利用して水を循環させて炉内の温度を下げる機能がすべて失われた。東電は、原子力災害対策特別措置法に基づき国に原子力緊急事態宣言を求めた。原子炉隔離時冷却系(RCIC)と呼ばれる機能が停止、原子炉内に注水できなくなったのが原因という。

 東電は同日午後4時34分、海水の注入準備に入った。注水には消防車のポンプを使うが、数不足に加え、職員が目を離したすきに燃料が切れて停止したという。その後、注水を再開し、午後9時34分に半分まで回復した。枝野幸男官房長官は午後9時過ぎの会見で「水位の上昇は確認された」と語った。

 1、3号機のように建屋内にたまった水素が爆発する可能性がある。東電は、建屋の壁面に穴を開けることを検討している。

 3号機の水素爆発で発生した負傷者は11人でうち6人が被ばくした。政府は「燃料棒のある圧力容器と格納容器は健全」とし、保安院は20キロ圏内の付近住民に対し、爆発直後に屋内退避を求めたが、同日午後2時過ぎ、20キロ圏外に退避するよう要請した。警察庁によると、14日午後1時現在、半径10キロ圏内には約60人がとどまり、自衛隊のヘリが搬送する予定だ。10~20キロ圏内には約360人が残り、警察の誘導でバス搬送を始めている。

 一方、炉内が高温のために緊急事態宣言が出されていた福島第2原発の1、2、4号機のうち、1、2号機が14日午後、核燃料の分裂が止まる「冷温停止」の状態になった。