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2011/02/25

日本原子力研究開発機構、「もんじゅ」の原子炉容器内に落下した炉内中継装置の回収に向け、外部有識者による検討委員会の第2回会合を開催

もんじゅ、装置引き抜き手順了承 検討委、事故原因つかみ具設計
(2011年2月25日午前8時05分)



 日本原子力研究開発機構は24日、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の原子炉容器内に落下した炉内中継装置の回収に向け、外部有識者による検討委員会の第2回会合をもんじゅで開いた。原子力機構が同装置を同容器上ぶたの一部「スリーブ」と一体で引き抜く具体的な作業手順を説明し、委員会は了承した。

 一方、落下原因について委員会は、グリッパー(つかみ具)の設計に問題があったとの認識で一致した。

 装置を引き抜く具体的な手順としては、原子炉容器内のガスを隔離する覆いを付け、仕切り弁や同装置の案内筒などの大型構造物を撤去する。その後、じゃばらの簡易容器を設置し、スリーブと一体で引き抜いた同装置を回収する。

 火災防止のため、覆いの中の酸素濃度を2%以下で管理するなどの安全対策をとるという。スリーブと同容器上ぶたがナトリウムで固着している場合に備え、ジャッキも用意する。

 会合に加え、委員7人は原子炉建物で炉上部を実際に見ながら説明を受けた。委員からはガスの隔離方法やリスク管理などに対し意見が出たという。

 会合後、記者会見した竹田敏一委員長(福井大附属国際原子力工学研究所所長)は「作業の経過は確認するが、引き抜きは安全に実施できるとの結論に至った」と説明した。その上で「重量物もあり、慎重に行ってほしい」と注文を付けた。

 一方、装置はつかみ具内部のねじが緩んだために落下したことを受け、原子力機構が1月に行った模擬再現実験の結果も報告された。つかみ具を輸送容器に入れて動かす際と同じような振動を加えた結果、ねじが回転し、通常の取り扱いでもねじは緩むと確認したという。

 竹田委員長は委員会の一致した認識として、設計に問題があったと指摘。原子力機構も「(原因として)極めて有力」と認めた。

 原子力機構は春ごろから、同装置の案内筒や仕切り弁など大型構造物を撤去し、同装置を引き抜く。秋までの復旧を目指す。委員会は引き抜き作業前に次回会合を開く。