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2011/02/15

【大相撲八百長問題】 「八百長など存在しない」とする協会側の主張は「訴訟詐欺」 講談社が相撲協会に通知書

「訴訟詐欺」講談社が通知書




 元横綱朝青龍らの八百長疑惑を報じた「週刊現代」の記事をめぐり、日本相撲協会などが07年に提訴した複数の裁判で敗訴が確定している発行元の講談社は14日、記事の取り消し広告を掲載したことなどによる損害を回復するよう求める通告書を協会に送った。届いた日から7日以内に文書による回答を求めており、「誠意ある回答がない場合は、当時の北の湖理事長ら3人に対し、刑事告訴を含む断固たる法的措置を取る」と述べている。

講談社は敗訴判決で協会に総額825万円の損害賠償を支払った。通告書は「日本相撲協会は虚偽の事実の主張・立証を通じて裁判所をだまし、誤信させて勝訴判決を勝ち取った。典型的な訴訟詐欺」と指摘している。

[2011年2月15日8時12分 紙面から]





「八百長否定は訴訟詐欺」 講談社が相撲協会に通告書
2011.2.14 20:12

 大相撲の八百長問題を報じた講談社側に、昨年秋に最高裁が計4785万円の損害賠償と記事取り消し広告の掲載を命じた判決に関連し、講談社は14日、日本相撲協会に対し同社が訴訟を通じて受けた損害の賠償と回復を求める通告書を送付した。1週間以内に誠意ある回答がない場合、詐欺罪での刑事告訴を含めた法的措置を取るとしている。

 講談社が発行する「週刊現代」は、平成19年に大相撲の八百長疑惑を10週連続で報じた。これに対し、協会と北の湖理事長(当時)、力士32人は講談社を相手取り、名誉毀損(きそん)による損害賠計約8億円を求める3件の訴えを起こし、いずれも同社の敗訴が確定した。判決を受けて、週刊現代は記事の取り消し広告を掲載している。

 同社は、「八百長など存在しない」とする一連の訴訟での協会側の主張を「訴訟詐欺そのもの」と批判。警視庁への告訴も視野に、北の湖元理事長と竹縄親方(元春日錦)、豊桜に対する告訴状を準備している。

 大相撲の八百長問題をめぐっては、新潮社が貴乃花親方に訴えられた訴訟が東京高裁で係争中。週刊新潮編集部は「裁判中なので本誌の対応はこれまで通りで、新たに何かするということはない。講談社に対する判決は金額も記事取り消し広告命令も異常で、同社の対応は理解できるし、注目している」と話す。

 日本相撲協会広報部の話 「通告書の内容を見ていないので何も申し上げられない」








八百長問題がモンゴルにも飛び火
 大相撲の八百長問題が、モンゴルでも日本同様に社会問題となっていることが13日、分かった。同国出身力士は、初場所で幕内に12人。うち2人に疑惑が浮上し、当初から注目度は高かった。さらに特別調査委員会による調査が、母国で絶大な人気を誇る元横綱朝青龍(30)にも及ぶ可能性があり、地元メディアでは出馬の可能性がある来年の総選挙に当たるモンゴル国民大会議(国会)への影響を懸念している。

 当初の過熱報道が収まりつつあったモンゴルで、八百長問題の話題が再び注目され始めた。発端は八百長問題を調査している、特別調査委員会による11日の発表だった。1度は調査対象外とした朝青龍を、11日になって突如、調査対象とする可能性があると訂正。地元紙では「もしも朝青龍から疑惑が浮上でもしたら」と、力士として初めてモンゴルの「国民栄誉賞」を受賞した、英雄の身を心配する論調の記事が相次いだ。

 朝青龍に人気があるだけでなく、来年の母国総選挙への出馬がささやかれているだけに、社会問題としてとらえられている。警察とは違い、調査委の事情聴取には拘束力がなく、多忙を極める朝青龍にスケジュールの余裕はない。4日に来日したかと思えば、この日はホノルルから成田空港に再来日。さらに07年1月発売の週刊誌に、八百長疑惑を報じられたが勝訴しているだけに、母国でも「大丈夫」という機運が高まっている。一方で「調査の結果、少しでも疑惑が浮上すれば選挙に影響するのは必至」とも報じられている。

 もともと八百長問題が発覚した当初から、ともに幕内の翔天狼と光龍という2人のモンゴル人力士に疑惑があり、現地の注目度は高かった。元小結旭鷲山で、現在はモンゴル国会議員のバトバヤル氏は「モンゴルの2人の力士は八百長を認めていないが、私自身もモンゴル人が八百長をしたとは信じられない」と、潔白を確信している。日刊スポーツの取材にも、首都ウランバートル市内の50代男性は「八百長は賛成できないが、信じられない」、30代男性は「もし本当にあったとしたら、一生相撲は見ない」と、無実を信じる声が圧倒的。モンゴルでは、祈るような気持ちで八百長問題の決着を見守っている。

 [2011年2月14日8時15分 紙面から]