2011.2.13 02:00
東京都目黒区の元会社役員、大原道夫さん(87)夫妻殺傷事件で、殺人容疑などで逮捕された自称無職、木村義昭容疑者(65)=福島県いわき市=の長女が韓国で入院し、木村容疑者が韓国に渡航しようとした直前に任意同行されていたことが12日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁目黒署捜査本部は、木村容疑者が娘の入院費用を捻出するため犯行に及んだとみており、慎重に裏付け捜査を進める。
捜査本部では、防犯カメラの解析で福島県のいわき湯本から東京駅に向かう高速バスを実名で予約していた木村容疑者を特定。自宅近くにビデオを設置するなど行動確認を進めていたところ、木村容疑者が10日午後1時10分発の韓国・仁川空港行き航空便に乗るため、福島空港に向けて出発したことをつかんだ。このため、捜査員が任意同行を求め、最寄りの警察施設で逮捕に踏み切った。
捜査関係者によると、木村容疑者は平成15年から産業廃棄物処理の仲介で生計を立て、年金も受給するなど生活に困窮していなかったという。しかし、昨年秋に約15年来の知人から数百万円の借金をしており、長女の入院でまとまった現金が必要だったとみられる。
捜査本部によると、木村容疑者はこれまでの調べに具体的な動機は語っていない。捜査本部は長女の入院に伴って韓国に帰国した妻からも事情を聴く方針。
一方、木村容疑者は調べの中で「大原さんに申し訳ないことをした」と謝罪の言葉を口にしている。上京して犯行に及んだ経緯について「東京の高級住宅街といえば目黒か田園調布。どちらかに行こうと思ったが、田園調布への行き方が分からなかった。目黒には初めて行った」と供述しているという。
大原さん方を訪問した際に大手百貨店を名乗った理由は「高級なイメージがあり、ドアを開けてくれると思った」と説明。捜査本部は高級住宅街のイメージに合わせ、ドアを開けさせる方法を考えたとみている。
捜査本部は木村容疑者宅から衣類や名刺など約60点を押収したが、これまでに木村容疑者と大原さんの接点は確認されていない。凶器のナイフは福島県内で購入したとみられ、着替えも用意するなど周到に準備した形跡があることや、最寄り駅からまっすぐ大原さん方に向かうなど場当たり的犯行とは考えにくい点もあり、捜査本部は詳しい経緯を調べている。
目黒夫婦殺傷の容疑者、海外逃亡を計画?
東京都目黒区の大原道夫さん(87)夫妻が自宅で殺傷された事件で、事件に使われた果物ナイフと同型の製品が、殺人容疑などで逮捕された福島県いわき市、無職木村義昭容疑者(65)の自宅近くのホームセンターで販売されていたことが、捜査関係者への取材でわかった。
警視庁は、上京して強盗をしようと決意した木村容疑者が、相手に抵抗された場合に備え、事前にこの店でナイフを購入した疑いが強いとみている。
木村容疑者が事件後、海外行きの航空券を手配していたことも判明、同庁は海外逃亡を計画していた可能性が高いとみて調べている。
捜査関係者によると、犯行に使われた果物ナイフは、国内の有名メーカーが製造した刃渡り約12センチのステンレス製。メーカーによると約2年前に販売を開始し、これまでに全国に約2万本が出荷されていた。木村容疑者はこのナイフで大原さんの腹部などを刺した後、妻の瑠璃子さん(81)を切りつけたとされ、悲鳴を聞いて駆けつけた住民らにナイフを突きつけて威嚇しながら逃走していた。
(2011年2月13日03時02分 読売新聞)
「まじめそうな人」「温厚で穏やかなのに」…福島の容疑者自宅周辺、驚く住民
2011.2.11 01:35
「まじめそうな人なのに、なぜ」。東京都目黒区の夫婦殺傷事件で逮捕されたのは、福島県いわき市の自称無職木村義昭容疑者(65)。近所の人たちは逮捕の知らせに一様に驚いた様子だった。
近所の主婦(55)は「まじめそうな人だった。信じられない。びっくりです。仕事はよく分からないけど、畑仕事はしていたようだ。町内の清掃活動にも参加していた。奥さんと娘さんの3人で暮らしていた」と話す。
別の女性は「温厚で穏やかな人です」と絶句。木村容疑者が飼っている犬をかわいがっている姿をよく見かけたという。「以前はトラックの運転手をしていたけど、今も続けているかどうかは分からない」と話す。近くに住む80代の女性によると、木村容疑者は数年前に引っ越してきたばかり。「話をしたことはないが、おとなしそうな人なのに…」と声を震わせた。