2011年2月10日3時6分
静岡県熱海市などの老舗温泉ホテルを舞台にした岡本倶楽部の詐欺事件で、岡本ホテルグループの元オーナー大東正博容疑者(59)らが指定暴力団山口組系の暴力団関係者らと連携し、京都府京丹後市久美浜町のリゾートホテル開発計画を打ち出した疑いがあることが9日、捜査関係者への取材で分かった。
ホテルは今月に完成予定とされていたが、着工の形跡はなく、警視庁組織犯罪対策4課は大東容疑者らがさらに出資を募るために開発を発表した疑いがあるとみて調べている。
問題のホテルは「リッツ京都久美浜」。パンフレットによると、地下1階、地上13階建てで、露天風呂やプールなどを完備し、昨年4月に着工するとされていた。
捜査関係者らによると、同グループは2009年秋までに経営が窮迫し、取引先への代金納入や従業員給与の支払いが滞ったほか、会員契約時に約束していた未使用宿泊ポイントの換金も渋るようになった。
大東容疑者らは10年以上前に建設が頓挫し、放置されていた建物に目を付け、「リッツ」として再開発すると発表。ポイント換金や預託金返還を要求する会員らに、建設で一時的に資金繰りが悪化しているが、開業すれば大きな収益が見込めると釈明していた。
[時事通信社]
償還期限直前「ホテル計画」 岡本倶楽部事件
2011年2月9日 夕刊
老舗温泉ホテルを舞台にした岡本倶楽部による詐欺事件で、運営会社「オー・エム・シー(OMC)」(東京都中央区、破産手続き中)の元社長、山脇一晃容疑者(56)らが、出資金の償還期限が迫った昨年春、京都府内でのリゾートホテル開業計画を示し、新たに出資を募っていたことが分かった。
OMCは「五年目に元本を償還する」として二〇〇五年四月から会員を募り、一〇年四月に最初の償還期限を迎えた。当時、会員だった女性が同年三月ごろ、「きちんと償還されるのか」とOMCに問い合わせたところ、担当者が「新しいホテルの事業が成功すれば、償還できる」と説明したという。
この計画を記したパンフレットでは、京都府北部の京丹後市久美浜町にある廃ホテルを買い取って改装。高齢者向けリゾートホテル「リッツ京都久美浜」(十三階建て)として一〇年四月ごろに着工し、一一年二月の完成を目指す、としている。
パンフレットには、山脇容疑者が写真入りで登場し、「より快適なリゾートライフを提供させていただきます」とPRするページもある。
元会員の女性によると、OMCは会員に一口約二百万円でこのホテルの会員権の購入を勧誘していたという。「担当者に連れられ、現地視察した会員もいた」と振り返る。
一方、パンフレットで「建築・施工会社(予定)」と記されている大阪市内の建設会社の担当者は「一〇年二月ごろ、OMC側から改装にかかる費用の見積もりを依頼されたが、結局断った」と語る。
昨年六月、OMCの破産手続き開始が決定。ホテル近くに住む男性は「昨年四月ごろにホテルの計画について地元説明会が開かれ、各家庭に回覧板も回ってきたが、いつの間にか立ち消えになった」と話した。