小沢一郎の側近議員は14日、橋下氏に小沢氏との会談を申し入れた
小沢元代表:地域政党に便乗か 統一選に照準
小沢一郎元代表の処分に向けて民主党執行部が手続きを進めるなか、党内非主流派は11年度予算関連法案の年度内成立をめぐって政権が行き詰まる「3月危機」と、民主党敗北がささやかれる統一地方選に照準を合わせ始めた。生き残りを図る小沢元代表は自らと近い河村たかし名古屋市長らを通じて、ブームとなりつつある地域政党への便乗をちらつかせ、統一選への対応に苦慮する菅政権を揺さぶる構えだ。【葛西大博、笈田直樹】
◇橋下氏に会談申し入れ
小沢元代表は地域政党への足がかりに、橋下徹大阪府知事を取り込む動きを見せている。橋下氏は15日、河村氏と大阪市内で会談し、原口一博前総務相が13日に設立を表明した政治団体「日本維新の会」との連携で一致。河村氏も原口氏ももともと小沢元代表に近い。小沢元代表の側近議員は「橋下氏の発信力を利用したい」と語り、河村、原口両氏を通じて橋下氏に接近する狙いを明かす。関係者によると、小沢元代表の側近議員は14日、橋下氏に小沢元代表との会談を申し入れた。
小沢元代表が地域政党に秋波を送るのは、民主党惨敗がささやかれる統一地方選を前に、人気が高い橋下氏や河村氏との関係を強調することで党内における自らの求心力を維持する狙いがある。
統一地方選では民主党の推薦を辞退する動きも相次いでおり、新しい「旗」は魅力的。小沢元代表の側近は「統一選で地域政党が伸びれば党内にも組みたいという動きが出る。今後を見据えて選択肢を広げている」と解説する。小沢グループの新人議員は「いつまでも泥舟に乗っていられない」と語る。
ただ小沢元代表への世論は厳しい。6日の岩手県陸前高田市長選では小沢元代表が応援に入った民主推薦候補が敗れた。小沢グループの議員も「小沢さんと組むと橋下さんのイメージが悪くなる」と指摘する。橋下氏側が窮地の小沢元代表に協力するかは不透明だ。
◇首相退陣論、公然と
一方、党内の非主流派からは政権に対する不満が強まり、菅直人首相の退陣論も公然と出始めている。党執行部が小沢元代表の処分で多数決という荒業に踏み切ったことを逆手に攻勢を強める。
輿石東参院議員会長は16日の参院民主党議員総会のあいさつで「党内が揺らいだり大変な方向へ行くことも考えられる」と述べた。党内の混乱を最も危惧してきた輿石氏があからさまに「危機」に言及したことは、「3月危機」を現実視していることを意味する。
小沢元代表に近い議員からの発言も相次いでいる。川上義博参院議員は15日の常任幹事会で「予算関連法案が通らなければ責任を取るべきだ」と首相退陣に言及。16日の参院議員総会でも佐藤公治参院議員が「常任幹事会の手続きは乱暴だ」と執行部を批判した。
◇亀井代表「連合赤軍思い出す」
国民新党の亀井静香代表は16日の記者会見で、小沢元代表の処分問題を巡る民主党執行部の対応について「ちょっとした違いを取り立て、追及して総括して殺していく。連合赤軍を思い出す」と述べ、「(政権は)大変な事態に立ち至る危険性がある」と警告した。
小沢元代表は、15日に東京都内の個人事務所を訪れた側近議員に「首相は降ろそうと思っても降りない。解散があるかもしれないので、気を引き締めてしっかりやれ」と語った。
毎日新聞 2011年2月17日 2時33分