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2011/01/26

林原が私的整理申請 不正経理の疑いも浮上 

トレハロースの「林原」私的整理申請 負債1400億円
2011年1月26日11時11分



 甘味料の天然糖質「トレハロース」の開発や抗がん剤「インターフェロン」の量産で知られるバイオ企業「林原(はやしばら)」(岡山市北区、林原健社長)とグループ企業3社が、私的整理の一つ、事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を第三者機関の事業再生実務家協会に申請し、受理されたことが26日、わかった。負債総額は約1400億円とみられる。

 同社は朝日新聞の取材に対し、事業再生ADRの申請を認め、「金融機関と借り入れに関わる協議をしたいと利用申請した。詳細は差し控えたい」とコメントした。

 民間調査会社によると、トレハロースなど主力商品の売り上げは好調だが、抗がん剤研究のほか恐竜化石の発掘や類人猿の研究センターなど幅広い事業展開に伴う巨額の投資が経営を圧迫したという。

 事業再生ADRでは、実務家協会が調整役となり、裁判所に頼らず当事者間の話し合いで再生計画をつくり、再建を目指す。会社更生法などの法的整理に比べて、事業を継続しながら迅速に手続きが進められる利点がある。今後、債権者集会を開き、取引金融機関に支援を要請する予定。

 林原は1883年創業。同族経営で非上場。資本金は1億円。1994年には土中の菌の酵素からトレハロースの大量生産に成功。2009年に専用工場を建設した。

 化粧品原料の製造、ホテル、レストラン経営、美術館運営なども手がける。同社によると、グループの年間売上高は約800億円、従業員約1千人。(保田達哉)




林原、先行投資が負担に 非上場で情報開示少なく
私的整理で再建へ 2011/1/26 2:05
 バイオ関連企業として知られる林原(岡山市)が経営に行き詰まったのは、研究開発の先行投資の負担がかさんだことが主因だ。非上場の同族企業で長期的な研究開発体制をとっていたが、食品の甘味料などに使う主力製品の「トレハロース」に次ぐ事業の育成が遅れていた。同社は私的整理の手法である事業再生ADR(裁判外紛争解決)で、事業再建の道を探るが、不正経理の疑いも浮上しており、先行きは不透明だ。

 同社は林原健社長と弟の靖専務が経営全般を取り仕切っている。具体的な開発案件を選定し、投資を決めるワンマン体制で、医薬品の開発や様々な天然甘味料の量産を進めてきた。ただ近年は大きく成長する製品が出ていなかった。

 直近の決算として2009年度のグループ売上高を800億円と公表している。非上場であるため経営情報の開示が極端に少なく、経営の実態には不明な点も多い。開発投資がかさみ、借り入れに依存する体質に陥っていたもようだ。

 同社は1883年創業の水あめ製造業が発祥。1994年にトレハロースの量産化に世界で初めて成功したほか、インターフェロンなど医薬品の開発・製造にも力を入れている。医薬品の開発には長期にわたり多額の投資がかかる。その資金調達に迫られて売上高を水増しする不正経理に手を染めた可能性がある。



バイオ企業の林原、私的整理申請=グループ4社負債1000億円超-岡山
 甘味料に使う糖質「トレハロース」の生産などで知られるバイオ関連企業の林原(岡山市、林原健社長)などグループ4社が26日までに、私的整理の一種である「事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)」を第三者機関に申請し、受理されていたことがわかった。負債総額は4社合計で1000億円を超えるとみられる。

 ADRの対象となるグループ4社は林原のほか、林原生物科学研究所、太陽殖産、林原商事。2月上旬に中国銀行など取引金融機関と協議し、今後の返済計画について調整する。
 林原グループの2009年度の売上高は約800億円で、従業員は約1000人。抗がん剤「インターフェロン」やトレハロースの量産技術を確立したほか、恐竜や類人猿などの研究も行っている。(2011/01/26-11:35)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201101/2011012600315