(2010年8月27日午前7時12分)
日本原子力研究開発機構は26日、停止中の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の原子炉建物で、燃料交換時に用いる重さ3・3トンの炉内中継装置をつり上げて撤去作業中、原子炉容器内に落下したとみられると発表した。燃料漏れ検出器の数値に変化がないことから燃料には異常がないもようで、環境への影響はないとしている。
炉内中継装置は、新燃料集合体や使用済み燃料の装荷、取り出しの際に炉心の斜め上部に一時的に据え付ける機器。長さ約12メートル、直径55センチの筒状の構造物で、重さは約3・3トン。もんじゅは本年度の試験を終え、新燃料集合体を交換するために7月27日に据え付けた。
11~17日には新燃料集合体33体の交換を実施。その後、燃料交換に必要な機器類の撤去を順次行っていた。
原子力機構によると、26日には炉内中継装置の取り外しが行われ、午後2時48分ごろ、同装置の上部に2個のつめが付いたグリッパー(つかみ具)をひっかけて、ステンレスワイヤで約2メートルつり上げたところ、荷重がなくなった。当時、原子炉格納容器内の炉上では、職員ら7人がワイヤの巻き上げ操作しており、全員が衝突音を聞いたという。このため作業を中断した。
同装置は、つり上げる前の場所に落ちているとみられる。
放射線モニターや原子炉容器内のナトリウムの液面、燃料漏れ検出器などの数値に変化はないという。
このグリッパーは、21日には約3・4トンの燃料交換装置をつり上げて取り外し作業を行う際にも使っていた。原子力機構はグリッパーなどに問題がなかったかを調べるほか、原子炉容器や炉心に破損がないかも調査する。
原子力機構、トラブル通報遅すぎ 国が改善指示
経済産業省原子力安全・保安院は27日、高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で26日に起きた装置落下トラブルの際、事業者の日本原子力研究開発機構の通報が約1時間20分後と遅かったことについて、改善を求める指示文書を出した。
保安院は「従来の通報より遅く、ほかの電力会社の通報と比べても時間がかかっている」と指摘した。
保安院によると、今回のトラブルは午後2時48分に起きたが、原子力機構が保安院の現地事務所に通報したのは午後4時10分。
原子力機構の内部要領では、トラブルの発見者は当直長に、当直長は外部への連絡責任者に連絡することになっていたが、今回、発見者は担当上司に連絡しただけで、当直長に連絡していなかったという。
要領に違反するのは明らかで、原子力機構は「本来なら20~30分で通報するべきだった。経緯を詳しく調べる」としている。
2010/08/27 23:21 【共同通信】